LOVE DETERMINATION
第2章
充実の交差点(side Saionji) PAGE.1
俺は悩み抜いた末、西園寺学院高等部に入学した。
雅季と雅弥から誘われたという嬉しさはもちろん、初めて雅弥と出会った時の雅弥のすごさに感動した俺は雅弥と一緒にプレーしてみたいと思ったからだ。
だが、雅弥が高等部に上がるまで後、一年。
それまでにチームを強くして、国立を目指さなければならない。
俺の夢はそこにあるからだ。
しかし、今のチームには雅弥ほど高いレベルの選手はいない。
その年のインターハイも選手権も予選突破はできなかった。
そして雅季と雅弥が高等部に上がってきた。
部活初日。
俺は監督から主将に任命された。
不思議に思っていると雅弥が言った。
「俺が監督に頼んだんだ。」
「なぜ?」
「やっぱ、一樹は頼りになるし、指示もアドバイスも的確だろ?」
俺は監督に尋ねた。
「監督、なぜ俺を主将に任命したのですか?」
「西園寺くんの言った通りだよ。」
俺は少し呆れた。
たとえ、生徒だろうと西園寺家御曹司には頭があがらないのか?
「…雅弥。まずお前に言っておく。これからは俺はお前の先輩だ。今までとは違う。だからタメ口は許さない。それと名前で呼ぶのもだ。」
「………わかりました。…千葉先輩。」
少し怒ったように返事をする雅弥。
「ただし、部活以外は今まで通りでいてくれ。」
「ハイ!キャプテン!」
雅弥は納得したようにニカッと笑った。
一方、雅季のいる生徒会からも声がかかる。
「一樹さん、生徒会長になってもらえないかな?」
「ここには選挙というものはないのか?」
「…一応あるんだけど、西園寺家の人間が在学中は誰も立候補しないんだ。修一兄さんも裕次兄さんの時もそうだった。今は僕がいる。だから選挙はやらないんだよ。」
「…わかった。お前は何をするんだ?」
「僕は副会長兼書記だよ。一度やりたかったんだ。今まで会長しかやったことないからね。」
「雅季。雅弥にも同じことを言ったが俺がここにいる以上、敬語で話してくれ。示しがつかない。生徒会を離れるといつも通りで構わない。」
「わかりました。会長。」
全てを悟ったように雅季は頷いた。
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