BETWEEN KAZUKI & MIZUKI PAGE.4
そして約束の時間。
私は一人でその場所に向かうと、女の子が一人待っていた。
ここに来て。という言葉に促され、私は従った。
その子はそれっきり何も言わない。
おかしいなと思った瞬間、一樹先輩の叫び声が聞こえた。
「危ない!!」
一瞬のことで何が起こったのか理解できなかった。
気付くと私は、私をかばうように抱きしめる一樹先輩の胸の中にいた。
そして側には割れた植木鉢…
「瑞樹!追え!!」
瑞樹先輩は校舎の中に消えて行った。
「さて…」
私の体をそっと離した一樹先輩は泣きそうな顔をした女の子の方に向かった。
「説明してもらおうか。」
女の子は一樹先輩の怒りに満ちた表情に青ざめている。
「私、友達に頼まれて…鍵谷さんをここに立たせるようにって…まさか、こんなことするなんて知らなかったんです!ごめんなさい…」
そう言って、泣き崩れた。
やがて瑞樹先輩が女の子を連れて現れた。
「一樹、樹々、捕まえたぞ。」
見ると、同じクラスの子だった。
「お前、何で樹々にこんなことしたんだよ!」
観念したその子は話し始めた。
「…私、中学の時から瑞樹先輩が好きで、先輩のこと追いかけてこの高校に入ったの。ずっと好きだったのに後から来た鍵谷さんに取られて許せなくて…」
「お前、それだけのことで…こんなの犯罪じゃねぇか!」
掴みかかろうとした瑞樹先輩に私は言った。
「瑞樹先輩、もういいです。理由がわかりましたから。」
「でも樹々…」
私は瑞樹先輩の言葉を遮り女の子に向かって言った。
「取られるも何も、私は瑞樹先輩の彼女じゃないから…それだけ瑞樹先輩のこと好きだったら、先輩が国立へ行けるように応援して欲しい。」
泣きながら、頷いていた。
「それともう一つお願い。私と友達になって?」
その場にいた全員が驚いた。
「だって、同じクラスなんだし、気まずいままじゃイヤだから。ねっ?」
「鍵谷さん、ありがとう…それと、ごめんなさい。」
前へ 次へ しおりを挟む
|
![](//static.nanos.jp/upload/k/kazukichiba/mtr/0/0/20100611112549.jpg) |