Kazuki & Mizuki Chiba

BETWEEN KAZUKI & MIZUKI PAGE.1


私は陵泉高校サッカー部マネージャー。

入部して2ヶ月経つがずっと困ってることがある。

「樹々ちゃ〜ん!」

(来た…)

その声を聞くと、自然と腰が引け気味になる。

「片付け終わった?一緒に帰ろうよ〜!」

走ってやってきたその人に抱きつかれそうになり、慌てて交わす。

「あっ、お疲れさまです。まだ片付け残ってますから…」

「俺、待ってるから一緒に帰ろうよ〜。」

「えっ、でも時間かかりそうなので、先に帰っててください。」

「え〜っ?いつもそんなこと言って全然、一緒に帰ってくれないじゃないかぁ?」

「でも…仕事ですから…すみません。」

なかなかあきらめてくれない彼に困っていると、いつもの助け船が現れた。

「おい、瑞樹。また鍵谷さんが困っているだろう。」

瑞樹先輩の首根っこをヒョイと掴み、冷静に話すのは千葉一樹先輩。

「だって、一樹〜!樹々ちゃんが今日もダメだって言うからさ。今日こそはって思ってたのに〜。」

地団駄を踏んで悔しがる瑞樹先輩。

この二人、双子なのだ。

一樹先輩は、兄でサッカー部の主将。

性格はいたって冷静沈着で、いつも静かで一人を好む。

でもとても頼りになる先輩。

一方の瑞樹先輩は弟で、とにかく明るく人懐っこい。

いつもみんなとワイワイ騒ぐのが好き。

見た目はほぼ同じだが、見分け方はカンタン。

一樹先輩は眼鏡をかけてて一見怖そう。

瑞樹先輩はいつもニコニコしている。

一卵性なのに性格、全然違うんだよね〜。

瑞樹先輩はいつも『スキンシップ』とか言いながら、私に抱きつこうとする。

決して瑞樹先輩のこと嫌いではないが、コレには困る。

そんな私の気持ちに気付いて助けてくれる一樹先輩。

毎日、こんな調子だ。

「瑞樹、あきらめろ。お前がいたら鍵谷さんがいつまで経っても片付け終わらないだろう。」

「ちぇ〜っ。つまんねぇの。一樹に言われちゃ仕方ないから帰るよ。樹々ちゃん、またねっ!」

ニコッとウインクをする瑞樹先輩。

一樹先輩と私を残して去って行った。

「一樹先輩、いつもすみません。助けてもらってばっかりで…」

「いや、こっちこそ、すまない。いつも瑞樹が迷惑かけて。」

「迷惑ではないですけど…毎日じゃ、ちょっと疲れます。あっ、すみません。一樹先輩にこんなこと、話して…」

「いいんだ。困ってるのは事実だろう。そういうのを聞くのも主将の務めだからな。」

ホント、一樹先輩は頼りになる存在だ。

いつも私達マネージャーにも気を配ってくれる。

「ありがとうございます。本当に困ったら一樹先輩に相談に行きます。」

私がニコッと笑うと、一樹先輩は少し微笑む。

「本当に困ったことが起こらない方がいいがな。」

「ふふっ。そうですね。」



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