Shun Ibuki

SQUAREな関係 PAGE.5


私の怒りが続く中、決勝がスタートした。

二人を見比べる。

賭けの対象になったことは許せなかったが、応援はする。

これは公式戦なのだから。

残り50メートルのターン。いつも通り互角。

残り25メートルで勝利が頭一つリード。

残り10メートル、瞬が追い上げる。

ほぼ同時にタッチ…

見た目にはわからない。

会場にいた全員が電光掲示板に注目する…

瞬だ…しかも高校新記録。

勝利とはコンマ2秒差。

会場がどよめいた。

しばらくして勝利が先に戻ってきた。

「あーあ。負けちゃった!しかも高校新記録だよ?やられたな。」

「勝利!どういうつもりなの?あんな賭けなんかして?」

勝利の顔を見るとまた怒りが沸き上がってきた。

そこへ瞬が戻ってきた。

「あっ、瞬。おめでとう!記録まで作っちゃって!」

無言で私に近寄る。

「瞬、ちょうどよかった。今、勝利にも言ってたとこなんだけど…」

無言のままの瞬に抱き締められた。

「ちょっと!瞬!」

「ん?何だ?」

「何だじゃない!放して!」

「…俺、お前のことだけ考えて泳いで、記録まで出したんだよ?ご褒美くれないの?」

「ご、ご褒美って!こんな公共の場で!」

「…じゃあ、ここじゃなければいいのか?」

「そういう問題でもない!」

私達のやり取りにクスクス笑ってたコーチと勝利。

「はいはい。ごちそうさまっ。」

「ったく…勝手にやってろ!」

とそれぞれ言って行こうとした二人に瞬が言った。

「待て。樹々は俺のものだ。もうちょっかい出すな。」

と言って私の肩を抱いてその場を後にした。



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