SQUAREな関係 PAGE.2
高校生活にも慣れてきたある日のこと。
いつものように瞬に一緒に帰ろうと声をかけると先に帰ってくれって言われた。
(はいはい。わかってます。また告白されるのね〜。)
これもいつものこと。
私は気にせず先に帰った。
翌日の昼休み、川瀬コーチに呼ばれた。
「コーチ、用事って何ですか?」
「瞬のことで、ちょっと…」
「瞬がどうかしましたか?」
「いや〜。マネージャーが一人辞めちゃってさ。どうも瞬が原因らしいんだ。」
「瞬が原因って?」
「ん〜。それ以上は俺にもわからないんだけどさ。樹々ちゃんなら何か知ってるかなと思って。」
(おそらく、昨日の告白だな。)
そう思ったが、コーチには言わなかった。
告白した子がかわいそうだから。
「わからないです。瞬、いつも通りでしたし。」
「そっか。ごめんね。変なこときいちゃって。いや〜。瞬には聞きづらいからさ。」
コーチは笑ってた。
「時間あるし、もうちょっといい?」と言われたので頷いた。
「樹々ちゃんは、瞬と勝利と仲良いんだね?」
そう聞かれたので瞬と勝利との関係を話した。
私の話を聞いたコーチはニヤッと笑って私をからかう。
「樹々ちゃん、モテモテじゃん?」
「コーチ、そんなわけないですよ〜。だって二人ともいい友達だし。モテモテだったら私、もっと幸せそうにしてますよ?」
私は正直、そんなにはかわいくない。十人並みだ。
性格だって男っぽい。
だからモテるはずがない。
私は十分に理解していたのでコーチの言う『モテモテ』がわからない。
「じゃあ、俺と付き合わない?」
「???はぁっ?!…コーチ、意味がわかりません。」
驚いてコーチに尋ねる。
「意味わかんないって…そのままだよ。俺は樹々ちゃんが好きなんだ。だから付き合ってくれって言ったんだ。」
ここまで言われても頭の中は???だ。
「コーチ、何で私なんですか?かわいい子なら他にもいっぱいいるじゃないですか?」
「…じゃあ、君は顔だけで人を好きになるのか?」
真剣な表情で言われ、戸惑った。
「いいえ…そんなことないです…」
「俺もそういうことだ。 君の明るさや性格、そういうのをひっくるめて、かわいいと思うから好きになったんだ。…で返事は聞かせてもらえないのかな?」
「コーチのこと、好きですけど、それはコーチとしてって意味で…男の人っていうふうには…見たことないです。」
「じゃあ、まだ望みはありそうだね?俺の気持ち忘れないでね。あきらめないよ。」
私は放心状態のまま、部室を後にした。
教室に戻った私は、瞬を探した。
瞬は自分の席に座っていたが、女の子からしきりに話しかけられていた。
それに答えてる様子はない。
いつも通り、黙ってる。
私が席に着くと、瞬は私に気付き、女の子をほったらかしにしてすぐにやって来た。
「おい、樹々。どうしたんだ?コーチ、何て?」
いつもとは違う私の様子に瞬は「…帰るぞ。」と言って自分と私のカバンを持って、私の腕を掴み、引っ張っていった。
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