TEN YEARS LOVE PAGE.6
自宅療養となり、家へ帰り部屋へ戻る。
私の部屋はユウちゃんに関するものだらけ…
あらゆるところにユウちゃん達との思い出が飾ってある。
みんなで撮った写真…
小さくなって使えなくなったユウちゃんのグローブやユニフォーム…
誕生日やクリスマスにユウちゃんからもらったいろいろなプレゼント…
そして、色褪せないように額縁に入ってある一枚の色紙。
そこには、ユウちゃんが中学を卒業した日付とともにこう書かれている。
私は部屋から出なくなった。
ユウちゃんとの思い出がいっぱいあるここだけが私の居場所だから…
さーちゃんは部活で忙しい中、時間の許す限り、私の部屋へ来てくれた。
私にチームの今の状況などをいろいろ教えてくれた。
私を気遣ってユウちゃんの名前は一切出さない。
ダイちゃんや日向くんの話が中心だ。
ある日、さーちゃんが思い詰めた顔で私に尋ねる。
「ねぇ、樹々ちゃん。この部屋にいると辛くない?」
「何で?」
「……近藤くんのものばかりあるでしょ?」
「ふふっ。だってさーちゃん。ここには私達だけが知ってるユウちゃんがいっぱいだよ?見てるといろんな楽しいことを思い出して幸せなの…」
そう言って私は、一枚の写真を手に取る。
「ほら、見て。これはリトルリーグの全国大会で優勝した時の写真。私達もユウちゃんもダイちゃんも泣いたよね…」
その時のことを思い出して笑みがこぼれる。
それからいろいろと思い出話ばかりした。
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