Yusei Kondo

TEN YEARS LOVE PAGE.5


放課後、部室へ行こうとするも足が動かない。

廊下で立ち往生していると後ろから声をかけられた。

「鍵谷?何、やってんだ?」

日向くんだった。

私が足が動かないと言うと手を差し出して動かそうとするが動くことができなかった。

私は、日向くんに抱き抱えられ、保健室へ連れて行かれた。

飛田先生に診てもらうが別にどこも悪くない。

飛田先生は家に連絡を入れてくれ、お母さんが迎えに来た。

すると足は動いた。

私はおかしいなと思いながら、その日は部活を休み、帰った。

次の日の放課後、心配してくれた日向くんが部室に一緒に行こうと声をかけてくれた。

立ち上がったものの、また足が動かない。今度は教室からも出れなくなっていた。

日向くんは私に「そこで待ってろ。」と言って教室を飛び出す。

戻った日向くんはさーちゃんを連れて来ていた。

さーちゃんは日向くんに昨日からの私の話を聞いたらしくてものすごく心配そうな顔をしていた。

さーちゃんは部活を休み、私を家まで送ってくれた。

不思議なことに校門を出ると、足は動いた。

さらに次の日の朝、家を出ると、自転車に乗ったユウちゃんが待っていた。

「樹々、大丈夫か?沙織から聞いたぞ。学校まで自転車に乗せて行くから。乗れよ?」

動かない私にユウちゃんが近づく。

「イヤー!!!来ないで!!」

私はユウちゃんに向かって叫び、その場に倒れた。



目を覚ました時には病院のベッドに寝ていた。

そばにはさーちゃんと飛田先生がいた。

飛田先生は優しく私に話しかけた。

「鍵谷さん、気分はどうですか?」

私は無言で頷いた。

「医師によると、少し心と体のバランスが崩れているみたいです。しばらく学校はお休みにして治療に専念しましょうか?」

そう言って飛田先生は学校へ戻った。

「樹々ちゃん…今朝のことは近藤くんから聞いたわ。動かない原因は…近藤くんよね?」

私は弱々しく、首を横に振る。

「…違うよ、さーちゃん。ユウちゃんは悪くない。私が勝手に…だってユウちゃんがるりちゃんと付き合うのだって別に悪いことじゃない…ただ…私の居場所がなくなっただけ…もうどこにも私の居場所はないの…」

私はそこまで言うと号泣した。



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テーマ「人外ファンタジー」
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