Yusei Kondo

TEN YEARS LOVE PAGE.4


そして、甲子園予選の決勝戦。

投げられないユウちゃんは悔しさを隠すように明るく振る舞い、みんなを応援する。

試合は9回裏の攻撃を残すのみ。

3点リードされている。

2アウト2塁3塁。
同点のチャンス。

バッターは日向くん。

1年生なのにレギュラーの彼に期待がかかる。

「日向くーん!がんばって!」

ベンチにいる私達も声援を送る。

カキンッ!

日向くんが放った打球はセンター後方の壁に直撃の3塁打。

2人還り、1点差。

もう1本出れば同点…

だが最後は内野ゴロに打ち取られ試合終了。

あと1本届かなかった…

帰り道、ユウちゃんは自分が投げてれば…と悔しさでいっぱいの様子。

でもダイちゃんは来年に繋げられるいい試合だったと言った。

特に日向くんの実力は群を抜いていた。
さらに成長を見込める。

来年こそは甲子園へ行こうと4人で誓いあった。



月日はすぎて、私達は進級した。

やっぱり、ユウちゃん達と一緒にいると楽しくて一年なんてあっという間だった。

マネージャーが二人入ってきたので私が教えることになった。

二人ともマネージャー経験はない。

教えるのは大変だが来年、さーちゃんはいなくなる。

その時のために根気強く教えた。

マネージャーの一人、安永るりちゃん。

彼女はとてもかわいくて何にでも一生懸命で素直な子だ。

ある日の昼休みのこと。

備品の整理のために、マネージャー4人で部室にいた。

思ったより早く終わったので、みんなでいろいろ話をしていた。

るりちゃんが私に質問する。

「鍵谷先輩は近藤先輩達と仲がいいんですね。みんな名前で呼び合ってるし…」

私は4人の関係を説明した。

「てっきり近藤先輩と付き合ってるのかと思ってました。いとこ同士ならそういう関係にならないですよね。」

るりちゃんは笑って言った。



それからしばらくして、ユウちゃんは私達と一緒に帰らなくなり、るりちゃんのことを名字ではなく、名前で呼ぶようになった。

私は、この日を境に壊れ始めた。



前へ 次へ しおりを挟む


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -