Yusei Kondo

TEN YEARS LOVE PAGE.1


4月。

陵泉高校入学式の朝。

支度をしながら私はウキウキしていた。

(ユウちゃんとまた同じ学校に通える。一緒に学校に行くの一年振りだよ〜。)

お母さんが下から叫んでいる。

「樹々〜。ユウくんが迎えに来たわよ〜。」

「はぁーい!今、行く!」

急いで階段を駆け降り、玄関を出ると、ユウちゃんが待っていた。

「ユウちゃん。お待たせ!」

「おはよう、樹々。また今日から同じ学校だな。」

「うんっ!ユウちゃん、よろしくね。」

「あぁ。こっちこそな。さっ、行くぞ。」

私はユウちゃんの横に並んで歩きだした。

「なぁ、樹々。お前、またマネージャーするのか?」

ユウちゃんは野球部。

小さい頃はリトルリーグに所属し、中学でも野球部に入っていた。

私は中学の時、マネージャーをしていた。

「うん。もちろんだよ!あっ。ひょっとして迷惑とか?」

「いや、そうじゃなくて、今は沙織一人で大変だからもう一人欲しいなと思って。」

「そっかぁ。今はマネージャー、さーちゃんだけなんだ…任せて!さーちゃんと一緒にがんばるよ!」

「うん、頼んだぞ。」

ユウちゃんは私の頭をクシャっと撫でた。

(撫でてもらったの、久しぶりだな…)

正門を入った時に、ユウちゃんと私は声をかけられた。

「ユウ、樹々、こっち!」

声のする方を見ると仲良く並んで私達に手を振っていた。

「あっ!さーちゃん!ダイちゃん!」

私は走って行った。

「おー、樹々、久しぶりだね。大きくなった?」

ダイちゃんに言われ私は笑って答える。

「えー、そんなに変わってないよ。ダイちゃんが大きくなったんじゃないの?」

「樹々ちゃん、久しぶりね。元気にしてた?」

「うん。そう言えば、さーちゃん、今、一人でマネージャーやってるんだって?ユウちゃんから聞いたよ。私もマネージャーやるからね。」

「ホント?嬉しい。樹々ちゃんと一緒だったら心強いよ。よろしくね。」

「ほらほら、お前たち。入学式始まるぞ。」

私達3人の背中を押すユウちゃん。

私は、首だけを後ろに向け、ユウちゃんに言った。

「私、またみんなと一緒になれて嬉しいよっ。」

その言葉に3人は顔を見合わせ、ニッコリ笑ってくれた。

「俺達も嬉しいよ。」



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