Yusei Kondo

春風に乱れて PAGE.4


翌日の放課後。

おからクッキーを作るために調理室で一人、格闘した。

何とか完成し、グラウンドへ急ぐ。

まだ練習中だったので、グラウンドの外には沙織さんしかいない。

私は、思い切って声をかける。

「あ、あの…」

振り返った沙織さんは私にニッコリ微笑んでくれた。

「あっ、鍵谷さんね。近藤くんから話は聞いてるわ。」

「これ、差し入れです。みなさんでどうぞ。」

私は、クッキーを差し出す。

「ありがとう。たくさんだから大変だったでしょ?」

「ええ、でも近藤先輩と約束しましたから…」

「ねっ、もうすぐ練習終わるから、待っていかない?近藤くんに直接渡したら?」

「いいんですか?」

「ええ、もちろん。」

「じゃあ、そうさせてもらいます。」

待ってる間、沙織さんはいろいろと野球部の話をしてくれた。

とても優しくて、素敵な人だなぁと、私は素直に思った。

練習が終わり、みんながこっちに向かってくる。

そんな中、私の姿を見つけた近藤先輩が走ってやって来た。

「鍵谷!持って来てくれたのか。」

私はニッコリ微笑んだ。

「何だよ。みんなで分けるのか。ちょっとしか食べられないだろ。」

少しふてくされる近藤先輩。

「ふふっ。先輩には別に用意してますよ。はい。」

先輩に別の袋を差し出す。

「サンキュー!食べていいか?」

「どうぞ。」

ニコニコしながら食べる先輩。

「鍵谷、一緒に帰ろう。校門で待ってて。」



校門で待ってると近藤先輩がやって来た。

「待たせたな。行こうか。」

頷いて、先輩の横を歩く。

「鍵谷、ありがとな。ホント、おいしかったよ。」

「いえ、先輩に喜んでもらえれば私も嬉しいです。また作りますから。」

「そっか。あ〜。早く食べたいな。」

「ふふっ。先輩たら、さっき食べたばっかりなのに。」

「だって、仕方ないだろ。本当に楽しみにしてるんだから。」

「先輩、ありがとうございます。私も作りがいがあります。」

「鍵谷、何かお礼がしたいんだけど、何がいい?」

「…先輩とデートがしたいです。」

「わかった。じゃ、今度の日曜な。」



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