Yusei Kondo

春風に乱れて PAGE.3


翌日、近藤先輩の家に着くと、上がるように言われた。

一度は断ったが、先輩のお母さんが私に晩ごはんをごちそうしてくれると言うのだ。

そこまで言われると断るわけにもいかず、おじゃまさせてもらった。



先輩のお母さんがごちそうしてくれたのは、豆腐づくしの料理。

やはり、お豆腐屋さんだけあってバリエーションが豊富。

私はお母さんにレシピを教えてもらった。

一通り、教えてもらったところで先輩がお母さんに話しかけた。

「お袋も鍵谷に教えてもらえよ。おからクッキーメチャメチャうまいぞ。」

「あら、そうなの?今度、教えてもらっていいかしら?」

「はい。私のレシピでいいなら喜んで。」

お母さんがニッコリ微笑んで言う。

「何だか、お嫁さんと一緒にいる気分だわ。」

お母さんの言葉に先輩と私は顔が真っ赤になる。

「な、何言ってんだよ!鍵谷に悪いだろ!鍵谷、送っていくぞ!」

先輩が玄関に急ぐ。

私は慌てて、お母さんにあいさつして、先輩を追いかける。



「鍵谷…ごめんな。何かお袋が変なこと言って…」

「いえ…少し恥ずかしかったですけど…」

思い出すとまた顔が赤くなる。

「なぁ…鍵谷は彼氏いるのか?」

「えっ?」

「いや…いたら悪いなって思ってさ。」

「彼氏なんて、いません。先輩こそ、彼女いるんじゃないですか?」

「俺?いないよ。」

「でも…」

「でも?」

私は思い切って言った。

「沙織さんは?」

近藤先輩はお腹をかかえて笑い出した。

「先輩?」

「鍵谷、沙織のこと気にしてたのか?沙織は幼なじみで野球部のマネージャーだよ。」

「そうだったんですか…名前で呼んでるからてっきり彼女かと思ってました。」

先輩の言葉にホッとして、心の中のトゲが抜けていくのがわかった。



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