TEN YEARS LOVE PAGE.9
ユウちゃんと私は並んでベンチに座る。
「樹々、ごめんな。俺のせいで辛い思いをさせて…」
「…ううん。ユウちゃんは悪くないよ。私の気持ちが弱かっただけ…それにもう気にしないで。大丈夫だから… それと大学のことは、るりちゃんに頼んで?もう私じゃユウちゃんを支えてあげられないよ…」
「樹々…少し話が長くなるが聞いてくれるか?」
「うん…」
「俺は練習がキツくて何度も辞めたくなったことがある。
そんな時は、必ずお前が俺をなだめたり、怒ったり、優しく言ってくれたりとその時の俺の気持ちに合わせて応じてくれた。
だから俺はお前のためにも野球を続けようと思ったし、続けてこれた。
それは今でも、そしてこれからも変わらない。
俺の夢は俺だけじゃなくて俺とお前の夢だと。
つまり、お前がいないと俺の夢も無くなるんだ。
俺は小さい頃から、ずっとお前が好きだ。
もちろん、今も。
るりのことだが、るりに告白された時、お前のことが好きだから、俺は断った。
でもるりが俺に言ったんだ。
『いとこ同士で好きっておかしい。結婚できないよ。』って。
俺はその言葉に動揺して、ヤケになって、るりと付き合い始めた。
お前と一緒になれないなら誰でもいいと思ったんだ。
そしたらお前が倒れた。
目の前で拒絶された俺はお前に合わす顔がなかった。
ましてや俺がどうにかしてやれる立場でもなかった。
そんな中、日向が俺に言ったんだ。
『どうして鍵谷を傷付け悲しませるようなことをするのか。』
だから日向に『俺とは結婚できない樹々に“付き合ってくれ”って言う資格、俺にはない。』と答えた。
そしたら日向は『いとこでも結婚できるんですよ。だから大丈夫です。 それと鍵谷は、必ず俺が連れ戻します。 近藤さんは野球に専念して調子を取り戻してください。』って言ってくれた。
その後すぐ、るりとは別れた。
お前に別れたことをすぐに言えばよかったんだけど言うタイミングがなかった。
お前は俺のこと、避けてたしな…
俺さ、お前が喜んでたり、嬉しそうにしてると調子が上がるんだ。
逆にお前が辛そうにしたり、悲しんでる時は、調子が悪くなる。
だからお前がいない間は今までじゃ考えられないぐらいひどかった。
こんな思いはもう二度としたくない。
お前を幸せにしたい。
そして俺も幸せになりたい。
樹々、俺はお前が好きだ。
付き合ってくれ。
そして、お前が大学を卒業したら結婚しよう。」
私はポロポロポロポロ涙がこぼれ、返事できなかった。
ユウちゃんはそんな私の顔をまっすぐ見つめ、流れる涙を拭って優しく尋ねる。
「樹々、返事は?」
「ユウちゃん、大好き!私、ユウちゃんのお嫁さんになる!」
ユウちゃんは優しく微笑んで、私にキスをくれた。
10年分の想いが込められた熱いキスを…
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