Special Project

Valentine's Day
ーone step of the beginningー
早乙女大吾


(えー!!!何で?!遅刻する!!!)

急いで準備をして家を出る。

(う〜、間に合わないよ!)

走っていると後ろから元気な声が聞こえた。

「樹々ちゃーん、おはよう!」

止まって振り返ると、自転車に乗っている早乙女先輩がやって来た。

「先輩、おはようございます。」

「珍しいね。樹々ちゃんがこんな時間にいるなんて。」

「寝坊しちゃって……急がないと!」

走りだそうとした私の腕を早乙女先輩がグッと掴んだ。

「…先輩?!」

「樹々ちゃん、後ろに乗って!」

早乙女先輩がニコニコと笑う。

「えっー!いいですよー!!!」

早乙女先輩は腕を離してくれない。

「ほらっ、樹々ちゃん。早くしないと間に合わないよ。」

私は観念して早乙女先輩の後ろに乗った。

私はどこを掴んでいいのかわからなくて焦っていると早乙女先輩は私の手を取り、自分の腰に回した。

「危ないからしっかり掴まっててよ。行くぞぉー!!!」

軽々と自転車を漕いでいく早乙女先輩。

(すごいな、早乙女先輩。やっぱり、力あるんだなぁ…)

最初は恥ずかしかったけど、早乙女先輩の温かさに段々と心地よくなってきた。

(もう少し、このままでいたいなぁ…)

そんな私の願いもむなしく、学校に到着してしまった。

私は自転車から降りると早乙女先輩と並んで歩き出した。

「早乙女先輩、ありがとうございました。おかげで助かりました。」

「樹々ちゃんの役に立てて嬉しいよ。」

ニコニコ笑う早乙女先輩に私は尋ねた。

「先輩、合宿はどうでしたか?」

早乙女先輩は千葉先輩、神坂先輩、風間くんとともに選手権の大会優秀選手に選ばれ、11日から13日まで高校選抜合宿に参加していた。

「うーん、キツかったよ。全国レベルって凄い。練習もハンパじゃないからさ。」

「結果はまだなんですよね?」

「うん…ちょっと自信ないな…」

いつもと違って元気のない早乙女先輩。

「早乙女先輩!わ、私、いつも元気いっぱいの先輩が好きです。これ受け取ってください!」

思い切ってチョコを差し出した。

「樹々ちゃん…俺に?」

私はブンブンと頷いた。

「樹々ちゃん!ありがとう!俺、すごく嬉しい!」

やっぱり、早乙女先輩は明るくて元気いいのが一番!

早乙女先輩ならきっと選抜チームにも選ばれるよね。

そんなことを思いながら私は笑顔の早乙女先輩の見つめていた。


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