WHITE FLOWERS PAGE.3
私は息が止まるかと思った。
あまりの驚きに声すら出ない。
そんな私に気づいたのか優しく微笑んで声をかけてくれた。
「樹々さん、また会えましたね?」
やっぱり声にならずにコクコクと頷く私。
「僕はあの時、自己紹介しませんでしたね。では改めてまして…西園寺修一です。この西園寺家の長男で高校の社会科教師を務めています。よろしくお願いしますね、樹々さん。」
「はい。よろしくお願いします。」
事情を知らない御堂さんとお母さんに説明する修一さん。
二人とも驚いていた。
そりゃそうだろう。
私自身すら驚いているのに…
でも修一さんはそんなに驚いている様子はない。
しばらく話した後、お稽古が始まった。
お母さんは華道と茶道の師範だ。
修一さんは両方ともお母さんから習っているという。
今日は茶道のお稽古みたい。
私は小さい頃からやっていて、すでに師範だ。
修一さんを見ていて思ったが、別に習わなくても十分なくらい。
動きも優雅で見とれてしまう。
(やっぱり、普通の人とは違うな…お坊っちゃまだもんね…)
私はその日以来、お母さんに変わって、修一さんの先生をすることになった。
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