Shuichi Saionji

WHITE FLOWERS PAGE.5


別荘に入ると修一さんはいろいろと説明してくれた。

「この別荘は完全に僕仕様なんですよ。小さいけど、茶室と剣道場もありますからね。そして花畑も広がっている。ここには僕しか来たことありません。」

修一さんは優しく微笑んだ。

「僕以外でここに来たのは、樹々さん、あなたが初めてですよ。僕はここには、特別な人しか連れて来ないって前から決めていました。」

修一さんの真剣な瞳に私は動けない。

「樹々さん。僕はあなたが好きです。」

こんな言葉を聞けるなんて思ってなかった。

私の瞳から涙がこぼれた。

修一さんはそっと涙を拭ってくれる。

「私も修一さんが好きです。初めて合った時からずっとずっと好きです。」

修一さんがそっと抱きしめてくれた。

「僕もです。あの日、君が躓かなければ、こんな幸せはやってこなかった。君に感謝するよ。」

「それって私のドジにってこと?」

ちょっと拗ねたように尋ねる。

「そうですね。」

ニッコリ笑う修一さん。

「もーっ。修一さんったら。」

「樹々、君は不思議な人だね。剣道が強いかと思えば、華道や茶道をするようなおしとやかな一面も持ち合わせ、そして何より危なっかしくて目が離せない。いつ見てもいろいろな表情の君に僕はとりこだよ。」

修一さんは私の頬に手を添え、そっとキスをする。

「樹々、今の気持ちを花に表現してみないか?」

「うん。もう頭の中に出来上がってるよ。後はお花を探すだけ。」

「じゃあ、採りに行こうか。」



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