バレンタインの決意 PAGE.1
私はカレンダーを見て、喜んでいた。
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(今年のバレンタインは日曜日。思い切ってデートに誘ってみようかな…)
私は修一お兄ちゃんのことが好き…
それは兄としてなのか男の人としてなのかハッキリ分からない。
最近、修一お兄ちゃんはとても忙しくて、同じ家にいるにもかかわらず顔を合わせることがほとんどない。
そして誘えないまま、バレンタイン当日を迎えてしまった。
少し遅めの朝食を採りに食堂へ行く。
みんなすでに食べ始めていた。
ただ一人、修一お兄ちゃんを除いて…
「お嬢様、おはようございます。」
御堂さんはいつも通り優しい笑顔であいさつをしてくれる。
「おはようございます。御堂さん…修一お兄ちゃんは?」
「修一様は、ご用事があるとかで先程、お出かけになられました。」
「そう…ありがとう。」
みんなとあいさつを交わしながら席につく。
「よぉ!樹々!何だよ、朝から元気ねぇなぁ!」
雅弥くんはとても元気いっぱい。
「そんなことないよ。元気だよ?」
「今日、ヒマだったら遊びに行かねぇか?」
雅弥くんの言葉に私を含めたみんなが一斉に雅弥くんを見つめる。
真っ先に口を開いたのは裕次お兄ちゃんだった。
「雅弥!ズルいぞ!樹々ちゃんを独り占めしようとするなんて!俺だって樹々ちゃんとデートしたい!」
「じゃあ、みんなで行くのはどう?」
雅季くんが冷静に話す。
「僕も行きたい…」
瞬くんがポツリと言った。
「まぁまぁ、皆様。お嬢様はまだ一言も行くとはおっしゃってませんよ?」
御堂さんの言葉にみんなハッとした。
「そ、そうだよね…ごめんね。樹々ちゃん。元はと言えば雅弥が樹々ちゃんを誘うからだろー!」
「つーか、バカ兄貴がいちいち反応するからだろーが!」
「お兄様に向かってバカとは何ですか!」
いつもならこのあたりで修一お兄ちゃんの仲裁が入るのだが今日はいないので二人のケンカは続く。
そんな二人にはお構い無しに雅季くんが私に尋ねる。
「で、樹々。今日は予定あるの?」
「特にはないんだけど…」
「じゃあ、みんなで気晴らしにでも行かない?」
(みんな、私に気を使ってくれてるんだな…)
私は勢いよく席を立った。
「みんなで遊びに行こう!」
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