SNOW BLIND PAGE.1
今日はクリスマスイブ。
西園寺家ではクリスマスパーティーが行われている。
いつも賑やかな屋敷だが、今日はさらに賑やかで煌びやかだ。
皆様楽しんでおられる。
もちろん、私の愛するあの方も…
今日のお嬢様は赤いドレスに真っ白なファーをポイントにあしらっている。
まるでサンタクロースみたいだ。
こんなかわいいサンタクロースなら一晩中起きて待っているだろう。
夜も更けていき、かわいいサンタさんは少しお疲れのご様子。
やがてソファに座ったまま寝てしまった。
「修一様、お嬢様が寝てしまわれました。」
今夜はお酒もすすみ、上機嫌の修一様。
「ふふっ…そうですね。樹々さんはまだまだ子供ですからね。要くん、悪いけど、部屋まで運んであげてくれないか?」
「かしこまりました。」
私はお嬢様を抱きかかえ、部屋に向かった。
部屋に入り、ベッドへ降ろす。
「このままではまずいな…」
ドレスを脱がせ、着替えさせる。
全く…警戒心のかけらすらない。
「修一様のおっしゃる通り、まだまだ子供だな。」
一人苦笑を漏らし、寝顔を見つめる。
「…ん。…み、どう…さん…」
寝言か…
一体どんな夢を見ているのだろう?
時折、嬉しそうに微笑んでいる。
「私も幸せものだな。おやすみ。樹々…」
おでこに軽くキスをして部屋を後にした。
パーティーも終わり、仕事を全て済ませ、離れの自室へと向かう。
「寒い…」
空を見上げると、雪が空から落ちて来た。
「積もりそうだな…」
翌朝、いつもより少し早起きをして、雪と格闘していた私に自室の窓からお嬢様が顔を出す。
「御堂さん、おはよう!雪すごいねっ!」
雪にワクワクしておられる。
「お嬢様、こちらにこられませんか?」
「うん!待ってて!」
勢いよく庭に出てきたお嬢様。
「わぁ〜。かわいい雪だるま!御堂さんが作ったの?」
「えぇ、お嬢様にほんのささやかなプレゼントでございます。」
「えっ?私に?」
ニッコリと微笑み、私は頷いた。
「それと、もう一つ…こちらの中にプレゼントがございますよ。」
雪だるまの横にある小さなかまくら。
お嬢様はその中から私からのプレゼントを取り出す。
「きれい…それにかわいい…御堂さん、本当にありがとう!」
俺の胸の中に飛び込んできた樹々をギュッと抱き締める。
そして樹々の頬を両手で包み込む。
「御堂さん…手が冷たい…がんばって雪だるま作ってくれたんだね…」
俺の手に自分の手を重ねる樹々。
「冷たい雪の中だろうと熱い炎の中だろうと、樹々、君のためなら何だってするさ…」
「御堂さん…」
「樹々、俺をあたためて…」
唇を重ねる。
樹々の手と唇で俺の心と体はあたためられた。
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