WHITE FLOWERS PAGE.6
お嬢様が退院し、お屋敷に戻られ、リビングで、ご兄弟達が揃ってお嬢様を迎えられた。
私は、皆様にお茶をご用意し、お話に加わることにした。
「皆様、申し訳ございませんでした。私がついていながら、お嬢様があのようなことになってしまいました。どのような責任でも取る覚悟はできております。」
「要!お前のせいじゃないって!それに樹々が無事に帰ってきたのは、お前が助けてくれたからだろ?!」
雅弥様のお言葉に皆様、大きく頷かれる。
「しかし…」
私の言葉をお嬢様が静かに遮った。
「御堂さんはちっとも悪くないよ。私がもう少し気をつけていればよかったの。だから責任を取るとか言わないで?」
「お嬢様…」
「私、御堂さんに助けてもらったの、わかってたよ。湖に落ちてから、ずっと白い花畑に一人でいたの。とてもきれいで動けなかった。昼も夜もずっと座ってお花を眺めていたの。そうしたら、御堂さんが来て、帰ろうって言ってくれた。それでも私、動けなくて…」
お嬢様の言葉に驚いた。
私と同じ体験なのだ。
私は、お嬢様の続きを話した。
「私がお嬢様にこちらにもきれいな花がありますよ。ってお誘いしたら来てくれましたね。そうしたらお嬢様の意識が戻られた…」
皆様、驚かれた。
ただ一人、修一様を除かれて。
「…すごいね。同じ体験をしたんだ、要さんは。修一兄さんは驚いてないね?」
雅季様の質問に修一様は微笑みながら答える。
「僕もその場にいましたから。でも僕は動くことができずに二人のいる場所には行けなかったんだ。」
「修一お兄ちゃん…」
「樹々さん、あなたがいた場所は白いけしの花。要くんがいたのは白いイカリソウ。」
「修一お兄ちゃん、花言葉教えて?」
「白いけしは『眠り』、イカリソウは…」
修一様は私をチラッと見てお嬢様におっしゃった。
「後は要くんに直接聞いてください。僕の口からはちょっと…」
「修一様、私は花言葉を存じ上げませんが?」
「…要くん、無意識にあの花を選びましたか。ではなおさら、君の口から樹々さんに伝えてください。後で本を貸しますよ。」
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