Kaname Midou

WHITE FLOWERS PAGE.5


意識が戻らないお嬢様。

私は傍から離れなかった。

修一さまに何度と休むように言われたが、断った。

不思議なことに疲れも眠気も感じなかった。

私はお嬢様の手を握ったまま、急に意識を失う。



一面の白い花の中にお嬢様が座っておられた。

楽しげに花をご覧になっている。

私は少し離れたところからお嬢様を眺める。

いつまで経ってもお嬢様は帰ろうとなさらない。

「お嬢様、そろそろお戻りになりましょう。皆様、心配されておられます。」

「ここ、きれいからもう少しいたいな。」

やがて日が傾き、辺りが暗くなってきた。

「お嬢様、そろそろ…」

首を横に振るお嬢様。

何気に足元を見ると、私の周りには、色は同じだが違う花が咲いていた。

私はその花を摘み、お嬢様のところへ向かった。

「お嬢様、あちらにもきれいな花がたくさん咲いていますよ。」

私は摘んだ花をお嬢様に差し出す。

「うわぁ…本当だ。御堂さん、私もそっちに行く。」

お嬢様は花を受け取り、立ち上がった。

一緒に歩き出す。

摘んだ花がたくさん咲いているところまでやって来た。

「御堂さん、こっちの花の方がきれいなのに、私ちっとも気づかなかった。」

ニッコリ微笑むお嬢様。

「御堂さん、本当にありがとう!」



私は意識が戻る。

「何だ?夢か?」

お嬢様の顔を見る。

「ん……」

「お嬢様!」

私が強く手を握ると、弱いながらも私の手を握り返す。

目を覚ましたお嬢様。

「御堂さん…ありがとう…」

「お嬢様…」

私は握っているお嬢様の手にキスをして、そのまま声を押し殺して泣いた。

お嬢様は私の頭を優しく撫でてくれた。

まるで小さい子供にそうするかのように…



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