Kaname Midou

WHITE FLOWERS PAGE.4


湖の中央付近まで来て、私は愕然とした。

氷が割れ、大きな穴が開いている。

私は大きく息を吸い込み、湖に飛び込んだ。

(どこだ?!)

幸いにも日差しが氷の下まで届いていた。

すぐにお嬢様を見つけることができた。

沈んでいくお嬢様を掴まえ、急いで水面まで上がる。

お嬢様の体を担ぐようにして、氷上に乗せた。

そして、自分も這い上がる。

意識はなく、脈も止まっている。

急いで心臓マッサージをする。

何回か繰り返したところで、息を吹き返した。

お嬢様を抱え、別荘に戻る。

ありったけの暖房器具を使い、部屋を暖め、お嬢様の服を全て脱がせて毛布にくるむ。

青白かった顔に少し赤みがさしてきた。

救急車を呼び、待つ間に修一さまに連絡する。

すぐにこちらに向かわれるとのこと。

私はお嬢様のそばに座り、手を握る。

救急車が到着し、状況を説明する。

救急隊員の方に言われた。

「あなたも着替えて下さい。」

言われて気付いた。

お嬢様には、できることは全てやったが、自分自身のことは何一つしていなかった。

服も髪の毛も濡れたままだった。

急いで着替え、救急車に乗り込んだ。



病院に到着し、お嬢様が診察を受けられている間に入院手続きをすませ、待合室で一人待つ。

「要くん!」

修一さまの声に私は立ち上がる。

「樹々さんは?」

私は首を横に振る。

「まだ中にいらっしゃいます。…修一さま、申し訳ありません。私がついていながら、このようなことに…」

「要くん。今は樹々さんの無事を祈ろう。」

修一さまに促され、椅子に座る。



やがてドアが開き、先生が出てこられた。

「先生!お嬢様は?!」

「意識はまだ回復しませんが、命に別状はないでしょう。処置が早かったのが幸いしました。」

「ありがとうございます…」

私の頬を一筋の涙が流れた。



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