Kaname Midou

WHITE FLOWERS PAGE.3


スケートは難しい。

安定しないので足に力がかかる。

運動神経は悪くないはずだが、勝手が違うせいか、どうもうまくいかない。

情けないことにお嬢様の手にずっと掴まったままだ。

何度も転びそうになるがお嬢様に支えてもらう。

いつもとは完全に立場が逆だ。

私は恥ずかしくなるが、お嬢様は余裕の笑み。

「いつもと反対だね。何だか、危なっかしい御堂さんがかわいい。」

そんなことを言われ、私はお嬢様がいつもされるような、頬をぷうっとふくらませて拗ねてみる。

お嬢様が大笑いをする。

つられるように私も。

その瞬間、私はバランスを崩す。

手を掴まえてたのでお嬢様を引っ張ってしまい、抱き込むような形で倒れこんでしまった。

「お嬢様、大丈夫ですか?」

「私は大丈夫です。御堂さんこそ大丈夫?」

「私は慣れておりますから。」

ほんの少し、意地悪く微笑みながら言ってみた。

また二人で大笑い。

(楽しい…)

この幸せな時間がいつまでも続けばいいのに。

叶わない願いと思いつつも、私は願わずにはいられなかった。



ほんの30分しか滑っていないのに私は、もうくたくただ。

「お嬢様、そろそろお茶の時間にしませんか?」

「うん!」

「私は、お茶の用意をしてまいります。」

「じゃあ、もうちょっと滑ってるね!」

私は、お茶の用意のために別荘に向かった。



支度が整い、湖へ戻る。

お嬢様の姿が見当たらない。

目を凝らしてみても遠くにいる様子はない。

「お嬢様!樹々お嬢様!」

叫んでみたものの、返事もない。

私は、焦った。

(森の方に行かれたか?いや、靴は履き替えておられない。)

その瞬間、背筋が凍った。

私は、湖の奥へと走って行った。



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