Kaname Midou

WHITE FLOWERS PAGE.1


冬のある日。

突然、お嬢様にお願いをされた。

「御堂さん。私、スケートがしたいな。」

聞けば、お嬢様は小さい頃からスケートをなさっていて、お上手だとのこと。

「わかりました。では手配しておきましょう。」



週末、お嬢様と私の二人でスケートに行くことになった。

お嬢様は、ご兄弟達にもお声をかけたのだが、皆様、ご用事があると断っておられた。

しかし、それは全て嘘だった。

西園寺家の皆様は、私を含め、スケートに縁がなく、どなたも一度もやられたことがない。

だから、スケートの得意なお嬢様にみっともない姿を見られたくないと言うのが本当の理由だ。

できることならば、私もご遠慮したかった。

しかし、お嬢様お一人でというわけにもいかず、こうしてお供することになった。

「ねぇ、御堂さん。随分遠くまで来てるような気がするんだけど…」

「もう間もなくでございますよ。見えて参りました。」

私が指を差すと、お嬢様はキョロキョロとなさって不思議そうな顔をされていた。

「さぁ、着きましたよ。」

ドアを開け、お嬢様をエスコートする。

「…うわぁ!」

お嬢様は目をキラキラと輝かせた。

「お嬢様、こちらは西園寺家所有の別荘と湖でございます。」

「御堂さん、すごいね。天然のリンクだ!ねっ、早速、滑ってもいい?」

「構いませんよ。寒いのであたたかい格好に着替えてからにしましょうか。」

「はぁ〜い!」

嬉しそうに返事をされ、走っていくお嬢様。

「お嬢様!走ると危ないですよ!」

「御堂さん、ごめんなさい!嬉しくて待ちきれないの!」

(やれやれ…)

そうは思っても、あんなに喜んでいるお嬢様の姿に私も頬が緩んでしまうのだった。



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