要酔Z or 要≠兄? PAGE.2
「……ん。………また、この夢だ。」
最近、私はこの夢をよく見る。
要お兄ちゃんが、初めてうちに来た時のことだ。
私は今、高校2年生。 そして、要お兄ちゃんは24歳。西園寺家で執事をしている。
今日は休日。 遅い朝食を摂りに食堂へ向かう。
食堂へ入ると、要お兄ちゃんが他の兄弟達の食事の後片付けをしていた。
「要お兄ちゃん、おはよう。」
後片付けの手を止め、私に向かっておじぎをする。
「おはようございます。 お嬢様。 良くおやすみになられましたか?」
ニッコリ微笑む要お兄ちゃん。
「うん。もうお兄ちゃん達の食事は終わったの?」
「はい。お嬢様が最後でございます。今、お持ちしますので、おかけになってお待ちください。」
そして、要お兄ちゃんが食事を運んでくれた。
「ねぇ、要お兄ちゃん。 今は二人きりなんだから敬語なしだよ?」
「ですが、今は勤務中でございます。」
「要お兄ちゃんっ!約束したじゃない!」
私がぷぅっと頬をふくらませ、怒ったふりをすると、要お兄ちゃんは小さく息を吐いた。「…わかったよ。樹々ちゃん。」
「やっぱり、要お兄ちゃんはこうでないとねっ!」
私はとびっきりの笑顔で要お兄ちゃんに微笑んだ。
食事が終わり、おかわりした紅茶を飲みながら、要お兄ちゃんに夢の話をしてみた。
「ねぇ、要お兄ちゃん。最近ね、要お兄ちゃんがうちに初めて来た時の夢をよく見るんだ。 それも決まって、私が要お兄ちゃんと結婚する!って言ったところで終わるんだよ。何でかな?」
要お兄ちゃんは目を丸くして「何でかな?って俺に聞かれても。もしかして、今でもそう思ってるってことは?」
「う〜ん。もちろん、要お兄ちゃんのことは好きだよ。でもやっぱり、『お兄ちゃん』って感じかな?かと言って修一お兄ちゃん達とは違うような… ん〜。よくわかんない。」
「よかった。今、その宣言されたら一大事だからね。俺、執事をクビになるよ。」
安堵した様子の要お兄ちゃん。
「そんな、大袈裟に言わなくても。」
「まったく、樹々ちゃんはまだまだ子供だな。大袈裟じゃなくて、実際そうなるよ。」
「そんなもんかな?」
「そんなもんだよ。さぁ、俺は仕事に戻るから『お兄ちゃんモード』はおしまい。」
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