要酔Z or 要≠兄? PAGE.4
「お嬢様!!!どちらへ!!!」
走る私の後を要お兄ちゃんが追いかけてくる。
私が部屋のドアを開けた瞬間に要お兄ちゃんに追いつかれた。
「お父さん!!!」
私が叫ぶとお父さんは驚いて、私達を見る。
「ねぇ、お父さん!要お兄ちゃんにお見合いしろって言ったの?!」
「あぁ、要くんにはよく頑張ってもらってる。そろそろ、お前達のことばかりじゃなくて要くん自身のことも考えて欲しいと思って言ったんだ。」
「だからって、何でお見合いなんて!お父さんから言われたら、要お兄ちゃん断りきれないじゃない!」
「要くん、君には好きな女性がいるのか?」
「旦那様…」
要お兄ちゃんが言いかけた瞬間…
「うわぁぁぁん!!」
私が小さな子供のように泣き始め、お父さん、要お兄ちゃん、私達の後を追いかけてきた兄弟達も驚いている。
「私が一番最初に要お兄ちゃんと結婚するって言ったんだよ!後からきた他の人に要お兄ちゃんを連れて行かれたくない!そんなのやだ!」
泣き続ける私に要お兄ちゃんは子供をあやすように頭をポンポンと撫でるとお父さんに向かって言った。
「旦那様、お見合いのお話はお断りさせていただきます。 私はお嬢様との結婚など望める立場ではございませんが、生涯をかけてお嬢様のお側に仕えたいと思っております。これは私がこの西園寺家に参りました時からの想いでございます。」
お父さんは大きくため息をつきながら要お兄ちゃんに言った。
「要くん、樹々はこの通りまだ幼い。君には申し訳ないが樹々が立派な大人になるまで世話を続けてくれないだろうか? もしかしたら…一生かかるかもしれないがね。」
「はい。御堂要、生涯をかけてお嬢様のお側で仕えさせていただきます。」
そしてお父さんの予想を大きく上回り、随分早く立派な大人になってしまった私が、『御堂樹々』になったのは、あの宣言からちょうど20年後のことだった。
前へ しおりを挟む
|
![](//static.nanos.jp/upload/k/kazukichiba/mtr/0/0/20100611112549.jpg) |