要酔Z or 要≠兄? PAGE.3
次の日の昼休み。
私が考え事をしていたら、隣の席に座っていた雅季が声をかけてきた。
「何、ボーっとしてるの?」
雅季と雅弥と私は三つ子。雅季と雅弥は一卵性だ。
三つ子なので、ただでさえ、分かり合える関係だし、何より雅季は鋭すぎる。
だから私は雅季には隠し事はしない。
「ねぇ、雅季。要お兄ちゃんって何で執事になったのかな?お父さんだって本当は会社の方に入れたかったんでしょ?」
「樹々、それは僕じゃなくて、要さんに聞けば?」
「ん〜。そうなんだけど、要お兄ちゃんのことだから、 『お世話になった西園寺家の皆様にご恩返しがしたくて…』 とか言いそうでしょ?そうじゃなくて本音はどうなのかな?と思って。」
「それこそ、要さんに聞きなよ。」
「だって、要お兄ちゃんだよ?言うと思う?」
「樹々がお願いすれば教えてくれるんじゃない?要さんは樹々には甘いし…」
「そうかなぁ?」
「それより樹々、そんなに要さんのこと、気になるの?」
私は、夢の話と要お兄ちゃんとのやり取りを雅季に話した。
「ふーん。無意識のうちの願望で覚醒させようとしてるんじゃない? それと執事クビの件は当然でしょ? 大事な令嬢に手を出す執事なんて信用できないよ。」
「え〜?お互い好き同士でも?」
「それはそうだろう。僕達は財閥を発展させていくための『駒』に過ぎないんだから。」
「そんなぁ…」
私はもう何も言えなくなっていた。
相変わらず、夢は見続け、間隔が短くなっていた。 今じゃ2日に1回は見る。
要お兄ちゃんに聞けないまま、日々は過ぎ、ついに毎日見るようになった。
そんなある日、兄弟そろって食事をしていたら、修一お兄ちゃんが要お兄ちゃんに尋ねた。
「要くん。もう返事はしたのかい?」
「返事と申されますのは?」
「あぁ、お見合いのだよ。」
『お見合い?!』
裕次お兄ちゃん以下の兄弟の声が重なる。
「だ、誰がお見合いしたの?!」
私が大声を出すと修一お兄ちゃんが 「要くんですよ。 まだお見合いはしていませんよ。お見合いしないかとお父さんから話が出ているんです。」
「要お兄ちゃん…お見合いするの?」
「やはり、旦那様からのお申し出ですので、お断りするのはどうかと…」
私はその瞬間、走って食堂を飛び出した。
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