運命の日

いよいよオーディションの締め切りの日が近づいて来ました。
新規で書いたのとリニューアルした作品を含めて9作品。
でも提出できるのはこのうち3作品までです。
どれを送ればいいのか自分ではなかなか決められなくって、バイト先の人や友達に見てもらって、意見を聞いたり、それを参考にして最終的には自分で決めました。
その結果、レコード会社へはリニューアルした「月に願いを」「oneself」、新規で書いた「茶色のマグカップ」の3作品。
オーディションのお誘いをいただいた全日本音楽振興会へは全て新規で「茶色のマグカップ」と「I want…」を送ることにしました。
作詞をする時はいつもワープロを使っていたのですが、この時ばかりは原稿用紙に一文字ずつ祈るような気持ちで、丁寧に書きました。
"僕の願いが届きますように"と願いをこめて、郵便ポストへ封筒を落としたことを今でもよく覚えています。

3週間後の夜、いつものようにバイトから戻り、ポストを開けると、待ちに待ったレコード会社からの結果が却って来ていました。
めちゃくちゃ緊張です。
心を落ち着かせて、静かに封を切って、中を確認しました。
オーディションの結果は、「合格」と書かれていました。
僕はそれを見た瞬間、不覚にもその場に倒れるかのように眠ってしまったようです。
実はこの夜の出来事はあまり覚えていません。
とにかく今まで張り詰めていたものが一気に解きほぐされたような安心感があったのだけは覚えています。
翌朝、目を覚ますと、オーディションに受かったことが夢のようで信じられなくって、何度も何度も合格通知を読み返していました。
そうしているうちに、やっと実感が湧いてきて、もうただただ嬉しくてたまりませんでした。

オーディションの際にご協力していただいた皆様には言葉では言い尽くせないぐらいに感謝しています。
以前の僕は、自分が困っていたり、悩んでいる時は、無条件で誰かが助けてくれるのが当たり前で、助けてくれない人は全て悪い人だと、自分にとって都合のいいように思っていました。
でも、それはすべて間違いでした。
誰だって不平・不満ばかり言って、何もしない人に対して助けたいとかやさしくしたいとは思わないでしょう。
自分が前向きに頑張っているからこそ人は皆、助けてくてやさしくもしてくれる。
ただ自分から求めているだけじゃ駄目なんだということに改めて気づかされました。

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