オーデションへ向けて

この企画が始まって7ヶ月が過ぎた頃、毎日の生活がとても充実に感じるようになっていました。
ピアノのレッスンを受け、作詞もして、バイトにも慣れてきたし、新しい友達ができたりして、本当に毎日が楽しかった。
こんな生活がいつまでも続いて欲しいと思ってしまうほどに。
でも一日も早くメジャーデビューしたいという気持ちは変わらないし、前進しなければならないということも解っていました。

この頃から暇を見つけては本屋へ行って、音楽雑誌や公募ガイドなどを立ち読みして、オーディションの情報収集をしていました。
そんなある日、あるレコード会社の作家募集のオーディションを見つけました。
僕はこれを見つけたとき、「やるなら今しかない、このチャンスを逃してはいけない」と思いました。
この日からオーディションへ送る作品作りに取り掛かりました。

この企画を始めた頃からずっと考えていたことなのですが、今まで書いた作品、つまり持ち歌の中から何点か選んで、オーディションに提出したいと心に決めていました。
なぜなら、一度完成させた作品は、どんな駄作であろうと自分の子供みたいなもの。
その子供たちに日の目をみさせてあげたいと、そうずっと願っていたからです。
だからといって、そのままの状態で作品を提出したのでは、おそらくオーディションには受かりません。
オーディションに受かるためには、受かるための手直しをする必要があります。

まずは「月に願いを」という作品の手直しから取り掛かりました。
これはもともと女の子の気持ちを綴った作品でしたが、僕が気に入っていて、歌いたいと思ったこともあり、男の子向けの詞にしてしまったんです。
これを機に元の形に戻すことにしました。
歌詞の一行目の"恋はもう二度とはしないだろう"の"だろう"って男言葉ですよね。
女の子だったら何て言うのか?
そんなことを考えたり、辞書で調べたりして歌詞を手直ししていきました。

こうして「月に願いを」を含む持ち歌4曲をリニューアルしました。
この数ヶ月間に経験したこと、学んだことを全て、夏目和沙の全てを出し切って作品を完成させることができたと思います。

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