発表会の帰り道

いよいよ発表会の日を迎えました。
今日までの練習の成果を聴いてもらう日です。

ピアノを習い始めてから二度目の発表会ではありますが、やはりこういう場は何度経験しても緊張します。
だからステージの上に立った時、今日までの努力を無駄にしてはいけないと、何度も自分に言い聞かせて、冷静になるように努めました。
でも頭では解っていたのですが、体は緊張しまくっていたのでしょう。
曲のサビの終わりのところを間違えてしまいました。
その後は頭の中が真っ白になってしまって、間違えたところから最後までどこをどう弾いたのか覚えていません。
観客の拍手で我にかえったぐらいでしたから。
それぐらい失敗してしまったことがショックだったのだと思います。

落ち込む間もなく次は自作の詞の朗読をしなければなりませんでした。
できるだけゆっくりと感情を込めて一生懸命に朗読をしたつもりでした。
何かひとつ踏み外すと、その後は何をやってもうまくいかないもので、詞を読み終えた後の観客の反応は、拍手まばらとでもいいましょうか、大きな反応は返ってきませんでした。

帰り道、ピアノで失敗したこと、朗読があまり受けなかったことをを思い出すと、無性に悔しくて、気がつくと涙が出ていました。
心の中で、「また頑張れば良いじゃん」と前向きに考えられたのですが、そう思えばそう思うほどに泣けてくる。

この時フッと昔の自分を思い出しました。
ちょっと前の僕だったら、今みたいな状況に耐えられなくて、きっと逃げ出していたんだろうなって思ったんです。
失敗しても何が起きても、前向きに考えられるようになった自分がいることに気づいたんです。

何か目標を持って、それに向かって頑張って進む。
その結果、成功するかもしれないし、失敗に終わるかもしれない。
仮に失敗に終わったとしても、目標へ進んだ分だけ何かを得られるんだということに気づかされたように思います。

もう嫌なことを先送りしてはいけない。
オーディションに挑む気持ちが強く芽生えたのはこの頃でした。

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