ピアノのレッスン

音楽教室の体験入学が終わり、いよいよ正式に入会する日がやって来ました。

新たに僕を受け持つことになった先生と挨拶を交わし、その先生と初のレッスンとなりました。
先生は僕がどれぐらいピアノが弾けるのか確認したいとのことで、僕に何か弾くように言いました。
僕は少し緊張しつつもピアノの前に座り、鍵盤に手をのせI'm proudをコード弾きしました。

僕の演奏を聴き終えた先生は、「それなりに弾けていて良い」と褒めてはくれましたが、それと同時にテンポに問題があると付け加えました。
要するに譜面が正確に読めていないということなのでしょう。
4分音符が一拍の長さだというぐらいは解っていますが、どうしても僕がいつもCDで聴いているI'm proudになってしまうんです。
ただ演奏するだけでなく、頭の中で一拍とか数えながらピアノを弾くのは、弾くだけで精一杯の僕にとっては更に難しく感じました。

この日のレッスンの終わりに先生から2ヵ月後に発表会があることを知らされました。
僕はもちろん参加する意思を伝え、発表曲もI'm proudにすることにしました。
入会早々ではありますが、この日から発表会へ向けての猛練習が始まりました。

レッスンでは、右手と左手を同時に動かす練習に、ただ感覚だけで弾くのではなく、楽譜どおりにテンポやリズムを計算しながら弾くところから始まりました。
月に3回の30分のレッスンなので、発表会までに6回しか時間はありません。
レッスンだけでは上達は見込めそうもないので、自宅でも練習をしました。
バイトが終わって、家に帰ってから毎晩2時間以上はキーボードの前から離れませんでした。
作詞の課題もやらなければならず、一通り終わった頃にはもう明け方になっていることもしばしありました。
そんな感じなので、一日の睡眠時間が2〜3時間という生活が続きました。
朝起きるのが辛いと思ったことはなかったと言えば嘘になりますが、毎日練習を続けているうちに、少しずつではあったけど、自分でもピアノが上達してきているのが解ってきたんです。
だから辛くもあったけど、楽しい日々でもありました。目標に向かって努力すれば何らかの結果が返ってくるということを実感できたのはこの頃からでした。

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