ビジュアルからの発想

週5回のアルバイトにピアノのレッスン、そして作詞講座の課題提出といった具合に、この頃になると毎日の生活のリズムが安定してきました。

今回の作詞講座の課題は、何枚か写真があって、その中から一枚を選び、それをイメージして作詞するというもの。
その写真の中で僕が気に入ったものがありました。
その写真はセピア色なので正確な色は分かりませんが、おそらく白い布張りの日記帳らしき物でした。
僕はその写真を見て、そんなに時間もかからずにあるイメージが頭に浮かんできました。
片思いしている女の子が眠りに就く前に日記を書く。
その日記にはまだ始まってもいない、彼との恋物語が女の子の空想のもとに綴られていく…。
そんなイメージが瞬時に浮かびました。
後はこのイメージしたものを一つの作品として完成しなければなりません。
今日まで教わってきたことを充実に守りながらこの作品は完成しました。
完成した作品のタイトルは「ダイアリー」。
何度も読み返してもておもったのですが、僕が過去に書いたものとは比べようも無いぐらい、情景や心情、表現がその詩の中に出ていたと、自己評価ではありますがそう思いました。

一ヵ月後、課題の結果が却ってきました。
「課題のテーマはクリアできているかもしれないが、ひとつの作品としての個性・魅力に欠けている」と先生から評価されました。
こんな評価でしたが、僕はもう慣れました。
どんなに悪い評価だろうと一々気にしてなんかいられません。
これがダメなら次で頑張ろうと思えるようになりました。

この企画を始めた頃は、宣言してしまった以上、やらなければならないし、失敗してしまったら恥ずかしいし、みっともないという気持ちが強かったように思えます。
でもこの「ダイアリー」という作品を書いてからは、「やらなければならないからやっている」から「自分がやりたいからやる」と思うようになりました。
オーディションへ向けて本気で動き出そうと自分を奮い立たせたのもこの頃からでした。

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