最後の課題

僕が路線バスで青森まで行きたいと思った理由の中に、青森の海が見たい、海を見ながら、自分自身の今後のことを考えたいという思いがありました。
僕は、ゴールした翌日、最後の課題とも言うべき、青森の海を見つめながら将来についていろいろ考えてみました。
沖縄移住のこと、裏切った友達の杏伍こと等…。
ところが、2日経っても3日経っても答えは簡単に出ませんでした。
結論の出せなかった僕は、まだこの旅を続けたいと思い始めてしまった。
旅をしている間は、辛いこともあったけど、楽しいこともあったし充実感もあった。
だから旅を続けたいと思った。
でも、それって逃げてるだけでしかないことに気づいた。

逃げている……。
これは沖縄にも同じことが言えたのかもしれない。
僕は、移住する前から沖縄に逃げていた部分があったと思う。
どうせそのうち沖縄移住するから……と言って、仕事に対しても両親に対しても面倒なことは背を向けて逃げていたように思う。
沖縄移住という大きな目標を課かける前に、今、目の前にあることを一生懸命やることが大切なんじゃないかという結論に達しました。
僕が青森で出した結論は、あまりにも抽象的すぎで答えになっていないかもしれない。
でも、僕はいつまでも「旅」という夢の世界に居てはいけない、現実の世界へ戻らなければと思った。
戻っても何も変わらないかもしれない。
それでも、もう逃げてばかりじゃダメなんだと思いました。


あの裏切った友達の杏伍が結婚しました。
結婚式の招待状は僕の元にも届きました。
もう何年も前から結婚する時は、親友である君を一番に招待したいと杏伍は常日頃から言っていました。
それを思い出すと少し心が動きましたし、ちょっと可哀相な気もしますが、僕は欠席する方を選びました。
だからもちろん、「おめでとう」なんて言葉も言わなかったし、今後も言うことはないと思う。
なぜなら僕はアイツを一生許さないことにしたからです。
これを読まれている人の中には僕が心の狭い奴だと思われるかもしれません。
でも、僕には杏伍と長年に渡り接して来た歴史があります。
その歴史を通して考えた末、簡単に許してはいけない事だと思いました。
因果応報……人にした悪業はいつか自分に返って来る。
この言葉の意味をよく考えながら、杏伍には一生、友達を裏切ったという十字架を背負って生きて行って欲しいと思います。

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