湯本駅〜仙台駅

翌朝、湯本駅からいわき駅までバスで移動しました。

ところがここで問題が発生です。
旅行資金が心許無い状態になりました。
今までは一日平均3駅のペースで進んでいましたが、このままのペースで進むと、後3日で資金は底をつきます。
ここでリタイアか?それともリタイアを前提に3日間で行ける所まで行くべきか?
この事はリアルタイム報告を見る限りでは瞬時に決断したかのように見えますが、資金の事は何日か前から悩んでいたものの、僕はその結論を今日まで先送りにしていたのです。
でも、そろそろ結論を出さなければなりません。
なぜなら、リタイアして家に帰るとしたら、ここで引き返した方が交通の便が良いからです。

僕は、悩みぬいた末、高速バスで青森まで行く方法を思い付きました。
でも、この方法だと路線バスの旅ではなくなります。
せっかくここまで路線バスと歩きだけで進んで来たのに悔しい気がします。
でも、せっかくここまで来たからこそ、高速バスに乗ってでも青森まで行かなければいけないと決意しました。

いわき駅から仙台駅行きの高速バスに乗ることにした僕は、仙台までのチケットを購入しました。
チケット売場の窓口で、いわき駅から高速バスは出ていないことを知りました。
ここからバスでいわき好間という場所まで移動し、そこからの乗車になるようです。


いわき好間に着いたのが13時、バスが来るまで2時間あります。
辺りは何もない場所だったので、僕は待合室で雑誌を読んだりして暇を潰した。

しばらくして雑誌にも飽きてきたので、煙草を吸いに表に出た時のこと。
ビジネスマン風の若い男の人が僕に声をかけてきました。
「好間工業団地へはどうやって行けばいいんでしょうか?」と話しかけられました。
僕はここへ来る途中、たまたま工業団地の看板を見ていたので、工業団地の方向を指しながら説明しました。

僕は、この旅でほとんど歩いてばかりいたせいか、感覚が麻痺していたみたいで「工業団地までのバスはないみたいですけど、2キロぐらいですから歩きでも30分もあれば余裕じゃないですか」と言ったら、そのビジネスマンは「えっ!そんなに…」って顔をしながら「この辺って時間が読めないですよね?」と言いました。
僕もバスがなかったりして大変な思いをしてきましたから気持ちはよく分かります。
「本当にそうですね」と笑いながら返事しました。

そのビジネスマンは川崎から来た人で、工業団地へ仕事で来たとのこと。
僕も今、川崎で働いているんですよと言ったらびっくりしていました。
しばらく世間話などをしてお別れしました。

あの後、あのビジネスマンが工業団地まで行けたのが気になりましたが、旅先で出会った人ですから確かめようもありません。
そう思うと急に淋しく感じました。

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