書いてみたやーつ
獲物はそう、そこのあなた


高く振り上げられる右足を避けると、勢いを利用してそのまま後ろ回し蹴りに持ってくる。これを腕で止めると体重をかけて体勢を崩そうとしてくるので、一歩退いてかわす。直後に上から気配。

「!…おっと、危ないな」

咄嗟に右腕を振り上げると、本当に追撃が来ていた。ちらりと見上げると、拳銃を握った左手。俺の右手が、相手の肘のところを止めていた。
…何故ナイフと格闘の時間に銃を持っているのか。それも、弾の入っていないものを。
膝蹴りが来たのでもう片方の手で止めると、右手のナイフを突き出して来た。真っ直ぐ胸を狙って来たので、軽く突き飛ばして距離を取る。
相手――苗字名前は、僅かに笑っていた。

「…楽しいのか?」
「まあまあ」

…そうか。まあまあでも楽しいのか。
制服のまま参加しているからやる気がないのかと思ったが、そうでもないらしい。
銃を握る左手で軽く素振りする様子を見ると、どうやらジャケットの裏に忍ばせた銃を使うために着替えなかっただけのようだ。銃(飛び道具)を完全に鈍器としてしか使う気がないようなのはどうかと思うが。
というか、制服のまま足を振り上げるのはやめておくべきだと思う。女子なんだから。見える。

「心配無用。それで相手が動揺したらもうけものだ」
「…(戦術だったのか)」

まあ、あの標的(ターゲット)は意外と精神攻撃に弱いから通用する可能性は大いにある。本人が気にしていないなら俺も黙って見なかったことにしておこう――とは、ならない。
女子中学生の使う戦術として相応しくない考えに眉をひそめる。が。

「子供が自分の身を削るようなことをしようとするな」
「はっ、」

…鼻で笑われた。
真剣なのだが、と顔をしかめると、苗字さんは自分のスカートの裾をつまんでひらひらさせる。ちらちら見える太ももを一部の男子が見ていることは、指摘するべきだろうか。本人が気付いた上でひらひらやっているからいいのか。いややはり良くないだろう。

「見られるくらいで大袈裟だな。この程度で削れていたら、私はとっくに消えているだろうに」
「なに?」

待て、一体何をしたんだ。
何かやらかしたことがあるのかと詰め寄るべく一歩踏み込むと、ブラジリアンキックをくらいかける。危ない。咄嗟に避けた先へと更に追撃してくる苗字さんの蹴りをかわしながら、これは面談を行うべきかと思案した。



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これが他の女子だったら「やめろ!」って説教入るけど主人公ちゃんには「それはどうなんだ」っていう程度の抵抗感だけな辺り実は対応に差があるんだけど自覚がない烏間先生


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