わんぴーす
不可思議な


ニアに水着を与えて、しばらく経ったある日。
不可思議なものを、見た。
ニアが何時もの様に海を漂っていて、ふと手のひらで海水を掬う様な動作をした。
しかし海水は指の間から零れ落ちる事無く、塊のままニアの手の上に残ったのだ。
ふよふよと動くそれは固まっているわけでは無さそうで、ならばどういう原理で彼女は海を『持っている』のだろうか。
そのまま見ていると、ニアは海の塊を自身の顔に近付け、一息に吸い込んだ。
海は彼女の口の中に流れ落ちて行き、全てを流し込むと、ニアはごくり、と喉を鳴らして飲み込んだ。
いや、飲み込んだというより、『喰らった』と言うべきか。
ニアは、海を食べていた。
そうして、何度か同じように海を『食べた』後、ニアはくるりと突然こちらを向いて、何もなかったかの様に言った。

「ぶらん、きょう、よる、あらし」

その日の夜、島は大きな嵐に襲われた。


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