わんぴーす拾った
少女を拾った。
記憶喪失で、自分の名前も、どこから来たのかも覚えていないという少女を。
山吹色の髪と海の色の瞳がうつくしいその少女は、傷だらけで浜辺に倒れていた。
その場所が、今は亡き妻との思い出の場所だったから、少女が彼女からの贈り物の様に思えて、私は迷わず少女を引き取った。
「ニア。君は今日から、オレングルフ・T・ニアだ」
「にあ…」
私のファミリーネーム『オレングルフ』を与え、少女が唯一覚えていた単語をミドルネームとし、一番悩んだ下の名前は、昔子供に読んでやった絵本に出てくる女の子の名前からとって『ニア』にした。
我ながら良い名前を考えたものだ。
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