わんぴーす
何を守るんだ?


「ぶらん」
「ん?」
「にあ、かいぐんする」
「ああ、…はあ!?」

書類を取り落とした。慌てて視線を向ければ、ニアはかつてなく強い意志の籠もった瞳をしていて、思わずこちらが息を飲む。

「…いきなりどうした?」
「いっしょがいい。だからかいぐんする」
「一緒、って」
「にあ、まもる」

海の色をした瞳がぎらりと輝く。
絶対に譲らない、と言わんばかりの鋭い眼差しに、何も言えなくなる。
海軍に入る事には問題はない。寧ろそうする様に言おうと思っていたから。
だが、ニアが自ら志願して来るとは思っていなかった。それも、こんなに意気込んでなんて。

「…、ニア、一つだけ聞かせてくれ」
「なに」
「何を守るんだ?」

じっと目を見つめる。
瞳孔が少し縦に伸びている。昂ぶっている、のだろうか。
見れば手や足から海水が滲んでいて、足元には水溜まりが出来ている。
何かあったとしか思えないが、ニアにそこまで説明する能力があるとは思っていない。
だからこそ質問を簡略化して一つに絞ったのだが。

「海軍に入って、君が守りたいものとは何だ?」

ニアは、一瞬何かを思い出す様に視線を宙に向け、少しだけ目を細めた。初めて見る、優しい表情。
期待も高まる。が。



「もくもく」

予想に反して意味のわからない答えが返って来て、思わずデスクに頭を打った。



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