わんぴーす生物の域を超えている
目の前に広がるのはマグマであり、普通の人間である私には近寄る事すら出来ない灼熱なわけだが。
「はふ…あったかい…」
何時も通り水着姿で裸足なニアは、まるで風呂にでも入っているかの様な雰囲気で、平然と、寧ろ気持ち良さそうに、赤く燃える溶岩に浸かっていた。
「ぶらん」
「…何、だ?」
「こんどから、おふろ、これがいい」
「…無理だ」
「…」
余りに想定外の状況に、このマグマを辺りにぶちまけた張本人すら反応出来ずに固まっている。
ニアは海にいる時と同じ様に、手で掬ったり、潜ったり、漂ったり、まあ自由に楽しんでいるのだが、如何せんそれは海水でなく溶岩なので、水着が焼けてしまっていた。
いやそれは構わない。子供だし裸でも誰も気にしないだろう。
問題は、溶岩に直接触れているのに、焼け爛れるどころか赤くなることもなく、その白さを保っているニアの肌と、一切ダメージを受けていない山吹色の髪だ。
「…何とも、ないのか?」
「きもちい」
「…」
「…」
生物の域を超えている、と呟くと、隣の強面が息を飲んだ、気がした。
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