わんぴーすあの子は一体
「大佐、あの子は一体…!?」
「…わからない。だから本部へ連れて行くんだ」
凪の帯。
大型海王類の巣である危険な場所なのにも関わらず、ニアは一人水面を漂っている。
軍艦は海楼石を使用している為に海王類に気付かれる事はない。だが、ニアは今、軍艦から離れ、一人で漂っているのだ。
いつ飲み込まれてもおかしくないというのに、ニアの周りは寧ろ穏やかに見えた。
「…ニア、そろそろ行くから上がって来なさい」
「うん」
声をかければ、大人しく此方に泳いで来る。
誰かがロープを降ろす前に、ニアはまるでトビウオの様に海面から飛び上がり、甲板に着地した。
目を丸くする海兵達の視線に気付いているのかいないのか、ニアは平然とした様子で此方に歩いて来て。
「さかな、たくさん」
「…、魚じゃなくて海王類だよ」
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