かこはくしゅ外科医と童話遣い


「死ね、と言うのと、殺す、と言うのでは、意味が違うと思うのです」

「…何だ、唐突に」

「殺す、と言う方が、想いがこもっているとは思いません?相手の為に時間と労力を費やすと宣言している様なものですし」

「まあ、そういう言い方をすれば…。だが、『自分がそうして手を下さなくてはならない程切羽詰まった状況である』とも取れるだろ」

「それじゃあ傲慢じゃないですか?『自分が一番それに適している』って事でしょう?」

「…さっきから、何が言いてェんだ?まさか、わざわざ言葉の解釈について講釈たれるために来たって訳でもねェんだろ」

「もちろん。私は抗議しに来たんです」

「抗議だ?」

「はい。どうしても言いたい事があって」

「…文句を言われる様な覚えはねェが、言ってみろ」

「はい。実は、」







「いえ、寧ろ私以外には言わないで下さい」

「…は?」

「この前、ユースタスに言っていたでしょう?アレに嫉妬してしまいまして。ローの全ての感情は、私が独り占めしたいんです」

「…強欲だな、」

「海賊ですもの」


海賊のくせにやけに優雅に微笑うおんなだが、その実瞳だけはギラギラと輝いているのだ。
全てを略奪し尽くそうと燃える炎の眼差しは、何よりおれに相応しい、と、頂点を目指すおとこは口元に笑みを浮かべた。


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