光の在処
不動の悪意

クラス分けが印刷された紙は、新入生達に埋もれてしまっていた。
合格発表の日を思い出しながら、夢は少し離れた場所から目を凝らす。周りより大体頭一つぶん飛び出ているおかげで視界を遮るものがないから、紙の真ん前まで行かなくても自分のクラスを確認出来た。
ついでに入試日の恩人の名前を同じクラスの欄に見付けて、ほっとする。唯一の知り合いが一緒で少し不安がなくなった。
それから人集りを抜け、新入生受付、と書かれた看板が立っている方へ向かう。
折り畳みテーブルに布をかけただけの簡易カウンターで、数人の先輩が新入生達に花をつけていた。

「はい、次の人ー。名前教え…おぉっ!?」

夢を見た受付係の男子生徒が目を瞠る。初見で驚かれるのはいつものことなので、気にせず名前を告げた。

「…初島夢です」
「初島さんね…背ぇおっきいね、身長どのくらい?」
「178センチ…くらい、です…」
「おー、すっご」
「どれどれ」

近くにいた別の男子生徒が、花をつけてもらっている最中で動けない夢の隣に立って背を比べる。
十センチ程の差があって、男子生徒はうわ、と落胆の声を漏らした。

「俺よりでけぇ…」
「それお前が小さいだけだろ」
「169は平均だ!!」
「はいはい男子うるさい。…じゃ、教室で待機してね」
「はい」

花をつけてくれた女生徒が教室の場所を口頭で説明してくれたので、礼を言ってその場を離れる。
隣で同じように花をつけてもらおうとしていた男子がびっくりしたような表情でこちらを見ていて、その視線から逃げるように急いで角を曲がった。
見られるのに慣れてはいるが、だからと言って視線が平気というわけでは無いのだ。
擦れ違う生徒達にじろじろと見られながらも言われた通りに廊下を進み、夢は心持ち早足で教室へ向かった。


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話が進んでない…だと…

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