光の在処
おとぎの国が見えない

「初島ってほんとトロいよね」
「身長ばっか高くてさ」
「正にあれだよね、ウドの大木!」
「てゆーか…粗大ゴミ?」
「粗大ゴミめっちゃわかる!」
「ゴミ島マジ邪魔くさい」
「ちょ、ゴミ島とかぴったり過ぎて」


同級生達の笑い声。
私はみんなに嫌われている。
女子ながら170センチもの高身長であるくせに運動が苦手で、足も遅いし、『無駄にでかい』と言われるのが日常だ。
私の存在は、人を苛立たせてしまうらしい。
特に私が在籍しているバレー部の女子は、私を視界に入れるだけで顔を顰める程だ。

「あんたのせいで遅くなったんだから、片付けはあんたがやってよね」
「そうそう、私達の足引っ張んないでよ」
「なあ、まだかー?早くしろって」
「あっ待って!今行く!」
「ちゃんとモップがけしてなかったら明日しばくから」
「あはは!鬼だー」
「えー?わざとボール散らかさなかっただけ優しいっしょ」
「ひでー」

ネットもボトルもすべてそのままの体育館に一人だけ残されるのは、毎日のこと。
ボトルを集めて、床に落ちているボールを拾って、ネットを外して、ポールを片付けて。体育館全体にモップをかけて、鍵を返して、玄関で靴を履き替える頃には9時を過ぎていた。
彼女達はいつも、遅くまで自主練しているから、片付けをしてから帰る私の帰宅時間はいつも遅い。
でも、それは仕方ない事。
最初に『我儘』を言ったのは私なのだから。


「…私が悪いんだ、」

昔から、そう言われ続けた。
昔から、それが口癖だった。
私のせいで失敗した。
私のせいで負けた。
私が皆に嫌われるのは当然。
だって私は皆を苛立たせるから。
私は『そういう』人間だから。
仕方ない。

仕方ない、のだ。



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