たいようのかけら
間違っているところを答えよ


椋は変な子だ。


「ねえ、シカマル君」
「あ?」

何を考えているのか、良くわからない。顔を隠しているし。全体的にずれている。

「どうして、忍者が戦争に出るのかな?例えば、敵陣に侵入して重要人物を暗殺したり、情報を盗んだりするのは正しく忍の仕事だと思うけど、戦場に立って戦うのは忍んでいるとは言えないし、だから、えっと、つまり、忍イコール軍事力って、変な考え方だと思うんだけど」
「…俺に言われてもな」

何で忍者が戦争に出るか?強いからに決まっている。
そんな事もわからないで、何の為にアカデミーに来ているのだろう。
くの一クラスでの生花の授業の最中にも、『どうして花を切るのか』と質問していたし、忍術の授業の時にも『何故印で術が決まるのか』とか何とか聞いていた。
そんな事を知りたがる意味もわからないし、理解出来る気もしない。
『そういうものだから』で納得しない椋は、はっきり言って面倒な子だと思う。

「…あれ、シカマル君、どこ行くの?」
「屋上。昼までサボる」
「何で?」
「めんどくせーから」
「わかった」

何故そこは納得するのか。普段は意味不明な事ばかり気にするくせに。

「じゃあ、お昼になったらお弁当持って行くね」
「おー」

椋はいつもシカマルと一緒にいる。シカマルが授業をサボっている時間以外、だが。
一緒に暮らしているのだとか、そんな噂を聞いた事もあるが、もしそうだとしても、アカデミーでまで常に一緒なのは少し変だと思う。まして二人は男子と女子なわけだし。

「ああ、そうだ。イルカ先生には言うなよ」
「うん。…後でね」
「おー」

それから椋は、シカマルの言う事なら、どんな滅茶苦茶な話でも納得する。
例えば、私なら、いくらサスケ君でも『神が俺に授業をサボれと言っている』なんて言っていたら何か隠しているのではないかと疑う。
けれど椋は、『シカマル君には神様の声が聞こえるの?凄い!』と本気で感心し、イルカ先生に捕まって説教されるシカマルを庇うのだ。最早頭がおかしいのではと疑ってしまうのも仕方ないと思う。
シカマルは悪くないと必死にイルカ先生に訴える姿に、逆にシカマルが罪悪感を感じて謝った時の事は、クラスの全員が覚えている筈だ。

「全員席に着けー!授業を始め、…人数が足りないな」
「先生ー、ナルト達サボるって言ってどっか行きましたー」
「何ィ!?達、って事は…またあいつらか!!よし、俺はあいつらを捕まえて来るから、皆自習していてくれ!!」
「先生、だめ!シカマル君は今英気を養ってるの!」
「あいつは年中養っているだろうがぁぁあ!!」

イルカ先生が叫びながら教室を飛び出して行くのを追い掛ける椋は走っているくせに足が遅くて、正直、忍者に向いていないんじゃないかと思った。


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