たいようのかけら
知らぬは本人のみ


「気持ち悪いんだよ!お前の目!」
「髪長過ぎてユーレイみたいだしよ!」
「こっちくんな!ユーレイ女!」

私の見た目は、周りの人間を不快にさせるらしい。
だから、頭を隠せば良いのだと思った。
正直、家族でもない人間に何を言われようが全く気にならないのだけれど、『あいつユーレイ女と一緒にいるぜ!』という言葉を聞いては黙っていられなかった。
シカマル君達、家族が悪く言われるのは我慢出来ないのだ。


「だから、かぶったの」
「「…」」

顔を隠す布を付けた頭巾を指して言うと、目の前で怖い顔をする親子は、更に目付きを鋭くさせた。
前から似ていると思っていたけれど、今は雰囲気から眉間のシワの寄り方まで全く同じである。これが血の繋がりというやつか、と感心していると、ぴき、という高い音に意識を戻された。
見れば、お父さんが持つ湯飲みに罅が入っている。買い替え時だろうか。後でお母さんに言っておこう。

「…いつ、言われた」
「おつかいのときとか」
「…どこのどいつだ」
「えっと、わかんない。しらないにんげん」

段々話し方まで似てきたような。
しかし、それにしても、お父さんの湯飲みはもうだめらしい。罅が深くて、今にも粉々に砕け散りそうだ。
お父さんは力が強いから、お母さんに次はもっと頑丈なものを選ぶべきだと伝えないと。

「あ、そうだ。わたし、おもったんだけど」
「「どうした」」

遂に言葉が重なった。凄い。

「あのにんげんは、ユーレイをみたことがあるのかな。ユーレイのかみがながいって、なんでしってたんだろ」

ユーレイって、目に見えない筈じゃないのか。
首を傾げていると、頭を撫でられた。お父さんは私が『良いこと』をすると頭を撫でてくれるのだが、今は何もしていない筈だ。何故撫でられたのか。
シカマル君に『気にすんな』と言われるまで、私はずっと頭を撫でられた理由について頭を悩ませるのであった。


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