異星人5匹目


『昼一緒に食わん?』
『いいの?』
『良くなかったら誘わん』
『それもそうか』
『弁当やろ?』
『うん。』
『どこにする?教室、裏庭、屋上、食堂その他』
『屋上って入れるの?』
『入れるけど
そこにするか?』
『是非。』
『なら昼は屋上で食って、その後学校案内したるわ』
『お願いします』
『任しとき』


4限の終わりには大分打ち解けていた。互いに下の名前を呼び捨てる程度には。
見かけによらず中々おもろい奴やで。
何をどうしたら学校帰りに足湯行くねん。渋過ぎるやろ。

「行くで」
「はいー」

チャイムが鳴って、教科書やらノートやらを片付けると、すぐに弁当を持って教室を出た。
廊下を歩いていると、注目が集まる事集まる事。
そらそうか、他校の制服着た奴がおったら目立つわな。
しかも転校生が来たっちゅー噂も広がっとるはずやし。
本人は気にしとらんみたいやけど、かなりの視線を浴びとる。

「…やっぱ、学校帰りはないわ」
「え、気持ち良いのに」
「んなじじくさいアフタースクールライフは嫌や」
「タダだよ?しかも天然温泉だし」
「そこちゃうわ。たまり場としてのチョイスの問題や」

通学路に足湯あるとかどんな町やっちゅーねん。

「でもそれ抜いたら…川に行くしかないよ?」
「2択かいな」
「あ、山もあるよ」
「自然に優しい放課後やな」
「そうかもしれない」

くだらん話しながらも屋上に到着。
晴れていて良かった。
菘はドアを開けた瞬間目を輝かせ、フェンスまで駆け出した。

「すんげぇー!」

あ、口調砕けた。何やめっちゃテンション上がっとるやん。

「はよ飯食わな、校内周り切れんようなるで」
「あぁっごめん!」

適当な所に腰掛けて弁当を広げる。
菘も慌てて駆け寄って来て、正面に座った。
興奮しとるらしく、少し頬が赤くなっとった。

「屋上好きなん?」
「あ、えと…前の学校は屋上なかったから、なんだか新鮮で」
「ほー」
「雪、降るから。屋根に積もると建物潰れちゃうから、雪が落ちるようにこう、急な角度になってて」

確かにそれだと屋上なんて作れんわ。つか雪で建物潰れるて何や。怖。

「…ドラマだけんたな…写メ良い?」
「顔は写さんといてや」
「了解」

何や知らんけど写メ撮られた。
前の学校の仲間に送るんだとか。
そないに珍しいのか屋上は、と聞こうと思たけど、このテンション突き抜けた菘がその証明になっとる気がしてやめた。

「さっきの」
「え?」
「だけ…なんちゃらって何」
「あー…ドラマみたいだなーって」
「方言?」
「うん」

確かに宇宙人やな、と言うと、菘は口に入れたばかりの卵焼きを吹き出しそうになっとった。



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