異星人4匹目


第一印象、『もっさい』。
レンズの分厚いメガネにひっつめた黒髪、前の学校の制服らしいセーラー服のスカートは膝頭が隠れる位まで下ろしていて、胸元の赤いスカーフも長い。
こう、『校則を遵守しています』て感じの見た目。ネタではなく素らしい。

第二印象、『真面目』。
1限の授業の始まり、教科書を見せる為に机をくっつけると、申し訳なさそうに謝られた。
謝る必要ないし謝られる意味がわからないと言うと、「迷惑かけるから」だそうで。
授業が始まると一気に集中して、綺麗にノートを作っていた。
俺はその作業を見学。元々出る気のなかった授業やし、やる気ないし。
黙って見ていたら、「…黒板、写さないと消されますよ」と言われた。ええねん別に。やる気ないねんとまでは言わなかったが。
そうしたら後でノートを見せてくれると言い出した。
教科書見せてもらうお礼、とか。
律儀や。

2限の古典は果てしなくサボりたかったが出ざるを得ないのでまた転校生のノートを見学、していたら当てられた。
「汝はたそ」の意味?知らんわ。
横から突かれたのでそちらを見ると、転校生がノートに『お前は誰だ!』と書いて此方に見せていた。
え、それ答えか?とりあえず言ってみると見事正解。
ルーズリーフに礼を書いて渡すと、『Thanks』の下に『You are welcome』が書き足されて返ってきた。あ、字ぃ綺麗。

3限は自習だったので、課題のプリントを解きながらルーズリーフに『どこから来たんやったっけ』と書いて隣に渡した。
すぐ『青森』と短い返事が返って来たので、また質問を考える。

『名前は?』

返事は速い。

『長嶺菘。君は?』

そういえばまだ名乗ってなかった。

『財前光
何でこの微妙な時期に転校?』
『母がこっちの人と再婚するから。』
『眼鏡のレンズ厚そうやな
目悪いんか?』
『かなり。』
『どれくらい?』
『眼鏡がないと教科書とか読めない程度には悪い。』
『青森から来たわりにはなまっとらんやん』
『なまると通じなくなる。』
『そないに言葉違うんか?』
『宇宙人みたいって言われる事もあるよ。』
『自分宇宙人やったんか』
『だとしたら、私から見た皆も宇宙人だよ。テレビ越しにしか聞いた事なかった言葉がそこらを飛び交ってる。』

転校生にとって、四天宝寺は異国の様なものなのかもしれない。聞き慣れない言葉に囲まれるというのは、どんな気分なんだろうか。


『あ
問12のb教えてくれ』
『意味は?辞典はあるけど』
『答えだけでええ
意味は後から調べる』
『てんまつ』
『Thanks』
『You are Welcome(・´∀`・)』
『何やその顔』
『ドヤ顔』
『何で今ドヤ顔したん』
『頭良いでしょアピール。ハッタリだから気にしないで』


こいつ、意外におもろいかもしれん。



back

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -