異星人11匹目



「母さん、弁当はテーブルの上に置いといたから」
「はーい、行ってらっしゃい」
「行ってきます!」


四天宝寺中に来て二日目の朝が来た。

起床時間が何時もより早かったり、四人分の弁当を作ったり、朝から大変だった。あれは世の母親は苦労しているんだなぁと思う瞬間の一つだ。
欠伸をしつつオサムさんと一緒に登校。道にはちらほらと学生の姿もある。こんな朝から人がいるなんて、と感心しながら歩く。
地元じゃランニングか犬の散歩をするお年寄りくらいしかいなかったな…。

「そーいや、菘ちゃんは何部入るかもう決めたん?」
「いえ、まだ…」
「前の学校は?」
「テニス部でした」

初心者で一年生だから球拾いくらいしかしていなかったけど。

「ふーん…」
「むしろマネージャーみたいな仕事ばかりでした。1年は3年が引退するまで先輩のサポートって決まってましたし」
「マネージャーはおらんの?」
「いませんでした」

だが違和感を覚えた事はない。1年の内に先輩を支える事で先輩の努力や苦労を知り、皆心から尊敬する様になっていたから、団結力が強まった。

「四天宝寺って強いんですか?」
「…男子テニス部は一応全国大会常連やなぁ」
「えぇ!?」

そんな凄い学校だったのかここ。お笑いだけじゃなかったのか。

「じゃあ…その顧問って事は…オサムさんも実は凄い人ですか?」
「はっはっは、オサムちゃんはただの監督や。なーんも特別やあらへん」

俺はその辺におるにーちゃんや、と笑う姿は確かにただの青年だ。

「と、笑てたらもう着いた」
「あ」
「ほな、テニスコート行こか」
「はいっ」

全国常連。なんて凄いんだろう。レベルの高い学校の練習を見れる事が嬉しくて、思わず表情が緩んでいた。



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