異星人8匹目


「君が菘ちゃんか?」
「はい」

靴を履き替えて外に出ると、花柄の帽子を被った男の人が立っていた。
この学校の制服ではないセーラー服ですぐに見分けがついたようだ。

「…やっぱ監督やった」
「え?」

光の言葉に振り替えると、背後から明るい声がかかる。

「おーう財前、そーいや菘ちゃんと同じクラスやったな!もう仲ようなったんか!」

監督…?ということは、光の部活の担当教諭が私の叔父にあたる人なのか。
男の人に向き直り、胸ポケットに入っているメモを取り出してそこに書かれた名前を読み上げる。

「オサム、さん?」
「せやでー。オサムちゃんや!よろしゅうなー」
「ちゃうで、菘。コケシのおっちゃんや」
「こら財前、先生に対して失礼やろが」

コケシって何の事だろう。光に聞きたかったけど、今はやめておく事にした。
それより家に帰らないと。まだ荷物の整理が済んでいない所もあるし、オサムさんの分に至っては昼届いたばかりでまだ手付かずの筈なのだ。

「あ、の」
「ん?」
「オサム、さん、帰って荷物整理しないといけないんじゃ」
「あーっ、せやった!俺の荷物ちゃんと届いとったか?」
「はい、昼に届いたと」

母からメールが、と告げれば、オサムさんはそーかそーかと頷いた。

「ほな行こか!今日車やねんけど、ええよな」
「はい。…じゃあ光、また明日ね」
「おん、またな」

軽く手を振って別れる。
駐車場へ向かいながら、オサムさんはふと思い出した様に振り返った。

「財前、明日は朝練やるさかいなー」
「…」

大きな声で言ったのだが、光は無反応で歩いて行く。
聞こえていないわけではなさそうだが。
首を傾げると、オサムさんは正面に向き直ってまた歩きだした。

「シカトかいな!はっはっは!」
「ええっ!?」

先生に対してシカト!?

「まあ財前はいつもの事や、気にせんと行こか」
「いつも…!?」

…もしかして、光は不良なのだろうか。




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