花宮ちゃんトマトケチャップ殺人事件

昨日は、夕食後にこっそり景虎さんへ『リコに手を出そうとする男はいませんでしたよ』メールを送り、風呂上がりのリコと連れ立って朝食の仕込みをし、部屋に戻ったらストレッチと柔軟を行って早めに就寝した。

さて、今日は合宿二日目である。外で日課のラジオ体操をしてから朝食に向かうと、ちょうど玄関で秀徳高校の生徒と行き合った。
咄嗟に愛想笑いを浮かべ、監督さんや大坪さん達に軽く挨拶して進むと、今度はルーキー同士のいがみ合いに遭遇する。なんだこの引きのよさは。

「…火神、黒子、おはよう。朝から元気一杯だね」
「あ、先輩。おはようございます」
「うっす」

まずは日に焼けて黒くなった火神と寝癖で頭がボサボサの黒子に声をかけ、次に秀徳の一年コンビの方を向く。
もちろん愛想笑い全開である。

「そちらは秀徳高校の一年坊クン達かな?同じ場所で合宿だなんて、凄い偶然だよね。顔を合わせることもあるだろうし、よろしくね」
「あ、しゃーっす!」
「…よろしくお願いします」

挨拶一つでよくわかる、軽い高尾と礼儀正しい緑間の温度差。
自然な流れで握手をして、そのまま立ち去った。一年同士で盛り上がっているんだろうし、ここは二年生は引いておこう。というか、これ以上いたら猫被ってんのがバレる。愛想笑いが剥げる前に撤退、撤退。
一年四人から離れると、前方から包丁を持ったリコが歩いて来るのが見えた。飛び散ったケチャップで、エプロンが所々物騒な汚れかたをしている。
何で包丁を持って来るんだろうか、この子は。

「あっ誠、ちょうど良いところに来たわね!火神君と黒子君知らない?」
「この先の洗面台のところにいたよ。…もしかして、台所から直行で来た?」
「?ええ」
「…」

これは説教が必要なようだ。が、今のリコの格好はまるで人ひとり殺して来たかのような凄惨さがあるので、『そっとしておこう』を選択。
一年四人を大いに怖がらせてやってくれ、と口には出さず心の中で告げ、包丁を左右に振りながら歩いて行くリコを黙って見送った。
さあリコ、緑間と高尾(火神と黒子もいるけど)の度肝を抜いて来い。

ちょっとしたら緑間の叫ぶ声が聞こえたので、大変満足した。



**********
さりげなく「一年坊」呼ばわりされたことに気付かない高尾と、後から「異性の他校生と自然に握手」することに違和感を感じる緑間と、花宮ちゃんを一目見た瞬間「ああ、この子は猫被り系だな」と気付いてた中谷監督の経験の差に萌えるので中谷監督の姪になりたい
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