花宮ちゃんマネジのおしごと #とは

ドアを開けたらそこは、地獄だった。

というのは冗談で。
今日はリコの料理の『試食会』の日である。担任と面談をしていて遅れてしまった私は、駆け足で調理室へ急いでいた。
――だが、遅かったらしい。
調理室に入った時には既に、リコの鍋(原作参照)を口にしたらしい男共が死屍累々と並んでいた。
私の記憶が確かなら、確か鍋が出されたところで『話』は途切れていた筈だが。
…彼らは食べたらしい。南無。

「リコ…またやらかしたんだね」
「…えへ…あ、でも!カレーはちゃんと作れたのよ!」
「…」

カレーぐらい小学生でも作れるぞ、と思ったが、それは心の中に封印しておく。料理は、出来ない人は本当に出来ないものだし。
頭を撫でてやると、リコは誇らしげに胸を張った。
これに関しては本当に小学生レベルだしなあ、と、中身がほぼ全て残っている寸胴鍋を見て思う。
『試食』会なのに大量生産する辺りからも、料理に慣れていない事を察する。

「…仕方ない、か…」
「?」

私がはあ、と溜息をつくと、リコは首を傾げた。
私も覚悟決めたぞ。リコの肩を掴み、目を見て決意を告げた。

「リコ、合宿まで毎日私と料理特訓ね」
「え」
「「「「「え?」」」」」

床に転がっていた男共がぱっと顔を上げる。お前ら起きてたのか。

「短期間詰め込みで、せめて合宿中の飯くらい、手際よくパパッと作れる様にしたげる。最終目標はこいつらがひっくり返るくらい美味い飯作る事」
「…出来る様になるかしら?」
「なる。ていうか、させる。…頑張ろ?」
「うん!」

男共はリコの『カレーもどき』も『寄せ鍋っぽいもの』も食べたわけだし、火神なんか『カレーもどき』を『カレー』に進化させているのだから、私だけ何もしないという訳にはいかない。
それに、私は一応ではあるがマネージャーという肩書きをしょっているのだし、これくらいしなくてはいけないと思う。何もせずに練習に混ぜてもらおうなんて厚かましいことを言うつもりはないのだ。
キラキラと眩しい視線を向けてくる元死体達に、任せろ、と口パクした。

「「「「「(救世主…!!)」」」」」
「(献立どうしよう…ググるか)」

prevnext
back
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -