花宮ちゃんバスケ部よ、私は帰ってきた!

「着替えて来たぞー」
「ウィース、久しぶりー」

体育館に入ると、全員の視線が此方を向いた。
一年の奴らなんか目を見開いている。『新しい人増えてる!?』みたいな表情が分かりやすくて笑えた。

「全員集合!二人は自己紹介してもらうからこっち!」
「おー」

リコの横に並ぶと、正面には仲間と、初対面の後輩。光と影と、臆病とお人好しとよくしゃべる子だったか。
にこ、と笑いかけてみると、一年は五人揃ってぱちぱちとまばたきをした。何故か動きがシンクロしていたが、本人達は気付いていないらしい。
面白そうな奴らだ。

「それじゃーどっちからでも、どーぞ」
「はーい」

何を言おうか少し考えながら隣を見ると、木吉はニコニコ笑いながらこちらを見下ろしていた。
…私から言えということか。

「…あー…去年の夏頃から入院して、それからずっとリハビリで休んでたけど、今日から復帰する。花宮誠、165センチ55キロ、一応マネージャーってことになってるけど、リコ達の好意で練習に参加させてもらってる。ポジションはPGとSG。よろしく」
「俺は冬から、同じくリハビリで休んでたんだ。木吉鉄平、193センチ81キロ、ポジションはC。よろしくな」

一年の戸惑いが手に取る様にわかる。大方、『マネジじゃないのか』とか、『この人が誠凛バスケ部を創った人…?』とか、そんな所だろう。
火神の視線が痛いし、ベンチ三人組の目がまん丸だ。黒子は呆気に取られてるっぽいけど。表情豊かな後輩である。

「二人共もう大丈夫なのね?」
「ああ!もう完璧治ったよ」
「まーそりゃブランクはあるけど、入院中何もしてなかったワケじゃないし…」
「何か学んだのか?」

確認する様に問い掛けて来たリコにサムズアップして見せると、答えた内容に伊月が食い付いて来た。
日向や小金井達も興味がありそうな顔だ。目に『期待してる』って書いてある。つーかお前らも表情豊かだな。

「まあ、学んだっていうか――」
「――ああ…、花札をな」

人の話遮って言う台詞かそれは。
無駄にキメ顔で言い切ったバカに、突っ込む前に溜め息が漏れた。

「同室の爺ちゃんから」
「だから!?」
「面白いぜ。コイコイの時のあのスリル!」
「「バスケ関係ねえじゃん!!」」

ごもっとも。
イラついている様な顔の日向の変わりにツッコミ(物理)を入れてから一年達の方を向くと、何故かひっ、と悲鳴が聞こえた。
良く見ると、何か怯えてる子がいた。というかベンチ三人組が震えていた。解せぬ。



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彼女が恥ずかしげもなく自分の体重を言えるのは、体型をきちんとコントロールしている自信があるからです。
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